ピープロテインとホエイプロテインはどう違うのか — アミノ酸スコア・PDCAAS・吸収速度を比較する

ピープロテインとホエイプロテインのアミノ酸組成・PDCAAS・DIAAS・ロイシン含有量・筋タンパク質合成効果を論文データで比較。環境負荷・アレルゲン・コストの多軸比較表と、目的別の選び方を整理する。

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  • ホエイプロテイン
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ピープロテイン(pea protein)とホエイプロテイン(whey protein)の最大の違いは、タンパク質品質スコアにある。Mathai et al.(2017, British Journal of Nutrition)の測定では、ホエイプロテインアイソレート(WPI)のDIAASは1.09であるのに対し、ピープロテイン濃縮物(PPC)のDIAASは0.75未満であり、制限アミノ酸はメチオニン(methionine)である。一方、Babault et al.(2015, Journal of the International Society of Sports Nutrition)による12週間RCTでは、完了者(n=137)を対象としたper protocol解析において筋厚増加に有意差は認められず(p=0.09)、適切な摂取量を確保すれば筋タンパク質合成(muscle protein synthesis: MPS)の差は小さいことが示唆されている。

ピープロテインとは何か

ピープロテインはイエローエンドウ豆(Pisum sativum)の種子から抽出した植物性タンパク質である。原料を水または希アルカリ溶液で処理してデンプンと繊維を除去し、タンパク質を濃縮・乾燥する。製品形態には濃縮物(protein concentrate: PPC、タンパク質含量60〜80%)とアイソレート(protein isolate: PPI、80%以上)がある。PDCAASとDIAASは濃縮度によって異なり、アイソレートはコンセントレートより高いスコアを示す場合がある点に留意が必要である。

ピープロテインの特徴は、主要アレルゲンを含まない点にある。乳・卵・大豆・小麦・ナッツ類のいずれにも該当せず、乳製品アレルギーや乳糖不耐症(lactose intolerance)の人にも選択肢となる。製造工程での環境負荷はホエイより低い傾向があり、えんどう豆1kgのタンパク質生産にかかるCO2排出量は乳製品由来タンパク質と比較して大幅に少ないとするLCA(life cycle assessment)試算が複数報告されている(Our World in Data, 2023年時点データ)。ただしホエイはチーズ製造の副産物であるため、LCAの副産物割り当て方式によって排出量の試算は変動し、単純な比較には注意が必要である。

アミノ酸組成はどう違うのか

Gorissen et al.(2018, Amino Acids, vol.50(12), pp.1685-1695)による市販植物性タンパク質アイソレートの組成分析では、ピープロテインアイソレートのロイシン(leucine)含有量はタンパク質100gあたり5.7 gであるのに対し、ホエイプロテインは8.6 g/100gであった。メチオニン含有量はピープロテイン0.3 g/100g に対してホエイ1.8 g/100gであり、6倍の差があった。メチオニンはMPS制御に関与する含硫アミノ酸(sulfur-containing amino acid)であり、ピープロテインの制限アミノ酸(limiting amino acid)となっている。

タンパク質品質の評価指標として、PDCAAS(protein digestibility-corrected amino acid score)とDIAAS(digestible indispensable amino acid score)の2種類がある。PDCAASは最大値を1.00(100%)で打ち切るため植物性タンパク質の品質を過大評価しやすく、現在はDIAASがより正確な指標として推奨されている。Mathai et al.(2017, British Journal of Nutrition, vol.117(4), pp.490-499)の豚モデルによる測定では、WPIのDIAASは1.09(FAO推奨量超過)であるのに対し、ピープロテイン濃縮物のDIAASは0.75未満であった。Babault et al.(2015)が報告したピープロテインのPDCAASは0.928であり、DIAASとPDCAASでスコアの差が生じるのは、測定動物種・上限処理方式の違いによるものである。

製品PDCAASDIAASロイシン(g/100gたんぱく質)メチオニン(g/100gたんぱく質)制限アミノ酸
ホエイWPI1.00(上限)1.098.61.8なし
ホエイWPC1.00(上限)1.00前後8.61.8なし
ホエイWPH1.00(上限)1.09(WPI基準)8.61.8なし
ピープロテインアイソレート(PPI)0.89前後0.75未満5.70.3メチオニン
ピープロテインコンセントレート(PPC)0.93前後0.75未満5.7前後0.3前後メチオニン

※PDCAAS/DIAAS値はMathai et al.(2017)およびBabault et al.(2015)に基づく。測定動物種・製品ロットにより変動する。ホエイWPHはWPIの加水分解物のため品質スコアはWPIに準じる。

筋タンパク質合成の効果は同等か

Babault et al.(2015, Journal of the International Society of Sports Nutrition, vol.12, article 3)は、18〜35歳男性161名を対象に12週間のRCTを実施した。ピープロテイン25 g×2回/日、ホエイWPC 25 g×2回/日、プラセボの3群を比較した結果、上腕二頭筋厚の増加率はピー群+13.4%、ホエイ群+15.3%、プラセボ群+10.7%であった。完了者(n=137)を対象としたper protocol解析での群間差は統計的に有意ではなく(p=0.09)、主要エンドポイントでは両プロテイン間に差はなかった。なお、ベースライン1RMが25 kg未満のサブグループに限定した解析ではピー群の優位性が示されたが(p<0.05)、これはサブグループ解析の結果であり、全体への一般化には慎重な解釈が必要である。

West et al.(2023, American Journal of Physiology - Endocrinology and Metabolism, vol.325(3), E267-E279)は、抵抗運動後にピープロテイン25 g、マイコプロテイン25 g、マイコプロテイン+ピープロテインブレンドをそれぞれ摂取した場合の筋原線維合成速度(myofibrillar FSR)を33名で比較した。3群間のFSRに有意差はなく(all p>0.05)、ピープロテイン群のFSRはメチオニン含量の高い食品と同等であった。この結果はメチオニン不足が急性のMPS刺激を必ずしも制限しないことを示唆しているが、著者らも述べているように長期的な筋肉量への影響については別途検証が必要である。

ピープロテインの吸収速度については、ホエイより遅くカゼインより速い中間的な速度(intermediate absorption)とする記述が文献に見られる。ただし、ペプチド形態のピープロテインとホエイを比較したCalbet & MacLean(2002)の結果を完全タンパク質粉末に適用することは方法論的に適切でなく、粉末形態でのピープロテインとホエイの吸収速度を定量的に比較した信頼性の高いデータは現時点では限られている。

環境負荷・アレルゲン・コストはどう違うのか

ピープロテインとホエイプロテインの実用上の差異は、アミノ酸スコア以外にも複数の軸に及ぶ。アレルゲンの面では、ホエイは乳由来であるため乳アレルギーを持つ人には使用できない。ピープロテインは主要アレルゲン8品目(乳・卵・小麦・そば・落花生・えび・かに・くるみ)に含まれず、食物アレルギーや乳糖不耐症への対応が可能である。

コストの面では、国内市場における定常価格(2026年3月時点)を確認できた製品で比較すると、ピープロテインアイソレートはホエイWPCより割高な傾向がある。ただしマイプロテインのピープロテインアイソレートについては日本向け定常価格を確認できていないため、比較表では「—」と記載する。

環境負荷については、えんどう豆由来タンパク質は乳製品由来タンパク質と比較してCO2排出量・水使用量ともに低い傾向があることが複数の試算で示されている(Our World in Data, 2023年時点)。一方で、ホエイはチーズ製造の副産物であり、乳牛飼育の環境負荷をホエイに帰属させる割合(副産物割り当て)によって試算値は大きく変わる。単純な数値比較ではなく文脈を踏まえた理解が必要である。

製品タイプDIAASロイシン(/100gたんぱく質)甘味料(代表品)アレルゲン価格帯(円/kg・2026年3月時点)
ホエイWPI動物性1.098.6 g製品による4,000〜6,000
ホエイWPC動物性1.00前後8.6 g製品による2,500〜4,000
ホエイWPH動物性1.09(WPI基準)8.6 g製品による5,000〜16,500
ピープロテインアイソレート(マイプロテイン等)植物性0.75未満5.7 gなし(アンフレーバー)なし
ピー+玄米ブレンド(ANOMA等)植物性ブレンド未確認未確認ステビアなし9,667

※DIAAS降順で表示。ホエイWPHはWPIの加水分解物のためDIAASはWPIに準じる値を示す。マイプロテインの日本円定常価格は2026年3月時点で確認できていない。ANOMAはピープロテイン+玄米プロテインのブレンド製品であり、単体ピープロテインとは別カテゴリとして掲載。各製品の代表フレーバー・通常価格で比較(セール価格は含まない)。

よくある質問

Q. ピープロテインだけで筋肉はつくのか

Babault et al.(2015)のRCTでは、ピープロテインを1日50 g(25 g×2回)摂取し12週間のレジスタンストレーニングを継続した場合、完了者を対象としたper protocol解析で筋厚の増加率はホエイWPC群と統計的に有意な差がなかった(p=0.09)。制限アミノ酸であるメチオニンについては、West et al.(2023)が急性MPSへの影響は限定的としているが、長期的な効果についてはデータが不十分である。メチオニンを多く含む卵・魚・肉などの食品を食事全体でバランスよく摂取することで補完できる可能性がある。

Q. ピーとホエイを混ぜて飲むメリットはあるか

ピープロテインはロイシン・メチオニンが少なく、ホエイはこれらのアミノ酸に富んでいる。両者をブレンドすることでアミノ酸プロファイルを補完できるという考え方は合理的である。ANOMAのようにピープロテインと玄米プロテイン(cysteine/methionineが比較的豊富)をブレンドした製品も同様の設計思想に基づいている。ただし、ブレンドによる筋肉量増加効果をホエイ単独と比較した長期RCTはまだ限られており、現時点では理論的補完の範囲にとどまる。

Q. WPH(加水分解ホエイ)とピープロテインはどう使い分けるか

WPHはホエイの加水分解物であり、WPIに準じるDIAAS 1.09相当のタンパク質品質とロイシン約8.6 g/100gを持つ動物性プロテインである。乳由来のためアレルゲンとして乳が含まれる。一方、ピープロテインアイソレートはDIAAS 0.75未満でロイシンが5.7 g/100gと少ないが、アレルゲンを含まない。乳アレルギーや乳糖不耐症がなく筋タンパク質合成の最大化を優先する場合はWPHやWPIが選択肢となり、アレルゲンフリーや植物性原料を優先する場合はピープロテインが選択肢となる。いずれも食事全体のタンパク質量・質のバランスを考慮した上で選ぶことが重要であり、他にも多くの選択肢がある。

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参考文献

  • Mathai JK, Liu Y, Stein HH. Values for digestible indispensable amino acid scores (DIAAS) for some dairy and plant proteins may better describe protein quality than scores calculated using the concept for protein digestibility-corrected amino acid scores (PDCAAS). British Journal of Nutrition. 2017;117(4):490-499. DOI: 10.1017/S0007114517000125
  • Gorissen SHM, Crombag JJR, Senden JMG, et al. Protein content and amino acid composition of commercially available plant-based protein isolates. Amino Acids. 2018;50(12):1685-1695. DOI: 10.1007/s00726-018-2640-5
  • Babault N, Païzis C, Deley G, et al. Pea proteins oral supplementation promotes muscle thickness gains during resistance training: a double-blind, randomized, Placebo-controlled clinical trial vs. Whey protein. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2015;12:3. DOI: 10.1186/s12970-014-0064-5
  • West S, Monteyne AJ, van der Heijden I, et al. Mycoprotein, pea protein, and their blend all support similar muscle protein synthetic rates in healthy older adults. American Journal of Physiology - Endocrinology and Metabolism. 2023;325(3):E267-E279. DOI: 10.1152/ajpendo.00166.2023