エッグプロテインとは何か — ホエイ代替としての卵白タンパク質の栄養価・消化率・選び方

エッグプロテイン(卵白タンパク質)の栄養価・DIAAS・消化率をホエイプロテインと比較する。加熱卵白の回腸消化率は90.9%(Evenepoel 1998)、DIAAS 100超の優良タンパク質であり、乳糖ゼロで乳糖不耐症の代替として有力な選択肢となる。

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エッグプロテインは卵白(egg white)を乾燥・加工した食品で、乳糖(lactose)をゼロに抑えながらDIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)が100を超える高品質タンパク質源である(Herreman et al., 2020, Food Science & Nutrition)。加熱処理した卵白の真回腸消化率(true ileal digestibility)は90.9±0.8%であり、生卵の51.3±9.8%から約39ポイント向上する(Evenepoel et al., 1998, Journal of Nutrition)。乳製品を受け付けない人や乳アレルギーを持つ人の代替プロテインとして栄養価の観点から評価できる。

エッグプロテインとは何か — 卵白タンパク質の基本

エッグプロテインは鶏卵の卵白を主原料とし、オボアルブミン(ovalbumin)・オボトランスフェリン・オボムコイド(ovomucoid)等のタンパク質を含む。卵黄は含まれないため、脂質量が低く抑えられる一方、乳糖も含まれない。

加熱処理は消化率に大きく影響する。Evenepoel et al.(1998, Journal of Nutrition, Vol. 128(10), pp. 1716-1722)の試験では、加熱卵の真回腸消化率90.9±0.8%に対して生卵は51.3±9.8%であり、加熱によって消化率が約39ポイント上昇することが示された。市販のエッグプロテインサプリメントは製造過程で加熱処理が施されているため、生卵を摂取する場合と比較して消化性に優れる。

Fanelli et al.(2024, Journal of Nutritional Science, Vol. 13, Article e68)は調理済み卵が全食品中でDIAASが最高水準に達し、6ヶ月以上の全年齢区分で「excellent」評価を得ることを報告した。DIAAS(digestible indispensable amino acid score)は必須アミノ酸の消化吸収まで考慮したタンパク質品質指標であり、100を超える食品は人体の必要量をすべての必須アミノ酸で充足できる。

エッグプロテインとホエイプロテインの栄養価はどう違うのか

エッグプロテインはDIAAS 100超でホエイ同等の品質を持つが、ロイシン(leucine)含有量においてはホエイより低い。ロイシン含有量においてはホエイより低い。Kido et al.(2022, Journal of Nutrition, Vol. 152(1), pp. 117-129)はラット試験で卵白タンパク質のロイシン含量を約7.7%と報告しており、ホエイの約10%を下回った。ロイシンは筋タンパク質合成(MPS: muscle protein synthesis)の開始シグナルに関与するアミノ酸であり、この差は重要な比較軸となる。

一方で全卵と卵白では筋タンパク質合成の反応が異なることが報告されている。van Vliet et al.(2017, American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 106(6), pp. 1401-1412)はレジスタンス運動後に全卵18gと卵白18gを比較し、全卵摂取後の筋線維MPSが卵白摂取後より有意に高い(P=0.04)ことを示した。卵黄に含まれるリン脂質がmTOR(mammalian target of rapamycin)活性化に関与する可能性がAbou Sawan et al.(2018, American Journal of Physiology – Cell Physiology, Vol. 315(4), pp. C537-C543)によって示唆されている。エッグプロテインサプリメントは卵白由来であるため、全卵を摂取する場合と同等のMPS応答が生じるかは別の問題として考慮が必要である。

以下の表は4種のプロテイン素材をDIAAS降順で比較したものである(2026年3月時点の情報に基づく)。

プロテイン素材DIAAS目安ロイシン含有量(%)加熱後消化率乳糖含有量1gタンパク質コスト目安
卵白(エッグ)100超約7.7%約90.9%ゼロ約4〜8円
WPI(乳清分離)約100約11%約90%以上極めて少量約3〜6円
WPC(乳清濃縮)約90〜100約10%約90%以上1〜5g/食約2〜4円
ソイ(大豆)約75〜91約7.5%約84%ゼロ約2〜4円

WPIはロイシン含有量がエッグより高く、WPCはコストが最も低い。ソイはDIAASがやや劣るものの乳糖ゼロで植物性の選択肢となる。

エッグプロテインのメリットとデメリットは何か

メリットとして主に以下の4点が挙げられる。

  • 乳糖ゼロ: ホエイプロテイン(WPC)に含まれる乳糖が腸内で発酵しガスや腹部不快感を引き起こすケースがある。エッグプロテインは乳糖を含まないため、この問題が生じない
  • 高DIAAS: 必須アミノ酸プロファイルが全年齢区分で「excellent」水準(Fanelli et al., 2024)
  • 乳アレルギー対応: 卵白由来のため、牛乳タンパク質アレルギーを持つ人でも利用できる場合がある
  • 低脂質: 卵黄を除去しているため脂質含有量が少ない

デメリットとして注意すべき点も存在する。

  • 価格: WPCと比較してコストが高い傾向にある(1gタンパク質あたり約4〜8円 vs WPCの約2〜4円)
  • ロイシン含有量の低さ: ホエイ(約10〜11%)と比較して卵白は約7.7%(Kido et al., 2022)であり、ロイシンによるMPS刺激の観点でホエイに劣る
  • 卵アレルギーリスク: 卵アレルギーの有病率は小児で約1.8〜2%と報告されており(Urisu et al., 2015, Chemical Immunology and Allergy)、卵白の主要アレルゲンであるオボムコイド(Gal d 1)は加熱安定性が高く、加熱処理後も残存することが知られている。卵アレルギーを持つ人はエッグプロテインを摂取できない
  • 全卵との差: 上述のvan Vliet et al.(2017)の知見が示すように、卵白単体では全卵と同等のMPS応答が得られない可能性がある

どのような人にエッグプロテインが向いているのか

エッグプロテインが特に検討対象となるのは、次のようなケースである。

乳糖不耐症(lactose intolerance)の人で、WPIやWPHに切り替えてもなお乳製品由来の成分を避けたい場合、卵白タンパク質は乳糖ゼロの動物性タンパク質源として選択肢になる。ソイプロテインでは植物性タンパク質のDIAASの低さや大豆アレルギーが懸念される人にとって、エッグはDIAAS 100超の動物性代替となる。

卵アレルギーを持つ人はエッグプロテインを使用できないため、選択前に卵アレルギーの有無を確認することが前提条件となる。また価格面ではWPCより割高であるため、コスト効率を重視する場合は他素材との比較検討が必要である。

Kashyap et al.(2018, American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 108(5), pp. 980-987)は加熱卵白の回腸消化率を86.3±4.6%と報告しており、加熱全卵の89.4±4.5%とほぼ同水準である。加熱卵白単体でも高い消化率が維持されることから、卵白由来サプリメントとしての消化吸収効率は評価できる。

よくある質問

Q. エッグプロテインとホエイプロテインはどちらが優れているか?

A. 一概にどちらが優れているとは言えない。DIAASの観点では両者ともに100前後で同等水準である(Herreman et al., 2020)。ロイシン含有量はホエイ(約10〜11%)がエッグ(約7.7%、Kido et al., 2022)を上回る。乳糖の有無が最大の差異であり、乳糖に敏感な人はエッグが選択肢となり、コストを重視する人はWPCが候補になる。

Q. 乳糖不耐症の場合、WPH製品はエッグプロテインの代わりになるか?

A. WPH(whey protein hydrolysate)製法のプロテインはホエイを加水分解しており、製造工程で乳糖量が極めて少なくなる。乳糖不耐症の多くのケースで利用できる可能性があるが、乳由来原料であることに変わりはなく、牛乳タンパク質アレルギーを持つ人や乳製品を一切摂取しない方針の人には対応できない。その場合は卵白由来のエッグプロテインやソイプロテインが代替の候補となる。

Q. 生卵とエッグプロテインで栄養価に違いはあるか?

A. 消化率に大きな差がある。Evenepoel et al.(1998)は生卵の真回腸消化率が51.3±9.8%であるのに対し、加熱卵では90.9±0.8%であることを報告した。市販のエッグプロテインは製造過程で加熱処理されているため、生卵よりも消化率が高い。生卵を継続的に摂取すると、卵白中のアビジン(avidin)がビオチン(biotin)吸収を阻害する可能性もあるが、加熱処理によってアビジンは変性する。

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参考文献

  • Evenepoel P et al., 1998, Journal of Nutrition, Vol. 128(10), pp. 1716-1722, DOI: 10.1093/jn/128.10.1716
  • van Vliet S et al., 2017, American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 106(6), pp. 1401-1412, DOI: 10.3945/ajcn.117.159855
  • Abou Sawan S et al., 2018, American Journal of Physiology – Cell Physiology, Vol. 315(4), pp. C537-C543, DOI: 10.1152/ajpcell.00225.2018
  • Koshinaka K et al., 2021, Nutrients, Vol. 13(6), Article 2042, DOI: 10.3390/nu13062042
  • Kido K et al., 2022, Journal of Nutrition, Vol. 152(1), pp. 117-129, DOI: 10.1093/jn/nxab353
  • Herreman L et al., 2020, Food Science & Nutrition, Vol. 8(10), pp. 5379-5391, DOI: 10.1002/fsn3.1809
  • Fanelli NS et al., 2024, Journal of Nutritional Science, Vol. 13, Article e68, DOI: 10.1017/jns.2024.71
  • Kashyap S et al., 2018, American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 108(5), pp. 980-987, DOI: 10.1093/ajcn/nqy178
  • Urisu A et al., 2015, Chemical Immunology and Allergy