1日に必要なタンパク質量はどれくらいか — 年齢・体重・運動量別の推奨量

1日に必要なタンパク質量は年齢・体重・運動量で異なる。厚労省の推奨量65g/日、ISSNの1.4〜2.0g/kg/日、Morton 2018の1.62g/kg閾値など、根拠となる数値を一覧で整理する。

  • タンパク質
  • 推奨量
  • 摂取量
  • プロテイン
  • 筋トレ
  • 高齢者
  • 食事摂取基準

1日に必要なタンパク質量は、年齢・体重・運動習慣によって大きく異なる。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の推奨量は成人男性65g/日・女性50g/日だが、これはタンパク質欠乏を防ぐことを目的として設定された値であり、運動による筋タンパク質合成の最大化を目的としたものではない。ISSN(国際スポーツ栄養学会)は運動習慣のある人に1.4〜2.0g/kg/日を推奨しており(Jäger et al., 2017, Journal of the International Society of Sports Nutrition)、体重70kgの場合は98〜140g/日に相当する。

なぜタンパク質の必要量は人によって異なるのか

タンパク質の必要量が一律でない理由は、体内でのタンパク質の利用目的が個人の状態によって異なるためである。

タンパク質は筋肉・臓器・酵素・ホルモン・免疫細胞など体のあらゆる組織の材料となる栄養素である。安静にしていても体内では常にタンパク質の分解と合成が繰り返されており(タンパク質代謝回転、protein turnover)、この分解分を補填するだけでも一定量のタンパク質摂取が必要になる。

運動を行う人は筋タンパク質の分解と合成がともに活発化するため、安静時よりも多くの原料が必要になる。加齢に伴い同化抵抗性(anabolic resistance)が進行する高齢者は、同じ量のタンパク質を摂取しても筋タンパク質合成(MPS)の反応が若年者より鈍いため、より多くの摂取が必要とされる。

厚労省やWHOはどれくらいを推奨しているのか

各公的機関の推奨量を整理する。いずれも「健康な一般成人が欠乏を防ぐために必要な量」として設定されており、筋肉量の最大化や運動パフォーマンスの最適化を目的としたものではない。

機関指標推奨値備考
厚生労働省(食事摂取基準)推奨量(RDA)男性65g/日、女性50g/日18〜64歳。65歳以上男性は60g/日
厚生労働省(食事摂取基準)目標量(DG)エネルギー比13〜20%65歳以上は15〜20%(下限引上げ)
WHO/FAO安全摂取量0.83g/kg/日窒素バランス研究から推定
米国DRIRDA男性56g/日、女性46g/日0.8g/kg/日に基づく

厚生労働省の推奨量65g/日は体重換算で約0.8〜1.0g/kg/日に相当する。WHO/FAOの0.83g/kg/日と概ね同水準であり、窒素バランスがマイナスにならないことを基準に設定された値である。

注意すべきは、65歳以上の目標量においてエネルギー比の下限が13%から15%に引き上げられている点である。高齢者のサルコペニア(加齢性筋肉減少症)予防のため、より多くのタンパク質摂取が必要とされている。

筋トレをしている場合はどれくらい必要か

運動習慣がある人のタンパク質必要量は、公的機関の推奨量より明らかに高い。

Jäger et al.(2017, Journal of the International Society of Sports Nutrition)によるISSNポジションスタンドでは、以下の推奨量が示されている。

  • 筋肉量の構築・維持: 1.4〜2.0g/kg/日
  • カロリー制限下での除脂肪体重維持: 2.3〜3.1g/kg/日
  • 1食あたり: 体重1kgあたり0.25g、または20〜40g
  • 摂取タイミング: 3〜4時間ごとに均等分散

Morton et al.(2018, British Journal of Sports Medicine)のメタアナリシス(49研究・1,863名)では、筋力トレーニングと組み合わせた場合のタンパク質摂取の閾値が1.62g/kg/日(95%CI: 1.03〜2.20)と報告されている。信頼区間の幅が広く個人差が大きいことを示唆しているが、中央値としてはこの水準を超える摂取は除脂肪体重(FFM)の増加に追加効果をもたらさなかった。一般的な筋力トレーニング愛好者にとっては1.6〜2.0g/kg/日が実用的な目標範囲となる。

体重別に具体的な数値を示すと以下のとおりである。

体重一般成人(0.8g/kg)運動者(1.6g/kg)筋肥大期(2.0g/kg)減量期(2.3〜3.1g/kg)
50kg40g80g100g115〜155g
60kg48g96g120g138〜186g
70kg56g112g140g161〜217g
80kg64g128g160g184〜248g

減量期の推奨範囲はISSNポジションスタンド(Jäger et al., 2017)の2.3〜3.1g/kg/日に基づく。Longland et al.(2016, American Journal of Clinical Nutrition)の研究では、トレーニング経験のある若年男性(n=40)を対象に、40%カロリー制限・高強度トレーニングの条件下で2.4g/kg/日の高タンパク食群が除脂肪体重を1.2kg増加させつつ体脂肪を4.8kg減少させたと報告されている。ただし、この結果は特定の被験者群・トレーニング条件下でのデータであり、そのまま一般化できるとは限らない。

年齢によって必要量は変わるのか

加齢に伴い、同じ量のタンパク質を摂取しても筋タンパク質合成(MPS)の反応が低下する。この現象は同化抵抗性(anabolic resistance)と呼ばれ、40代以降に徐々に進行する。

ESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)およびPROT-AGE Study Groupは、65歳以上の健常高齢者に対して1.0〜1.2g/kg/日のタンパク質摂取を推奨している。これは厚生労働省のRDA(0.8g/kg/日相当)を約25〜50%上回る値である。

Lonnie et al.(2018, Nutrients)のレビューでは、0.8g/kg/日を摂取する高齢者群は1.1g/kg/日摂取群と比較して、除脂肪体重の喪失が40%多かったと報告されている。

年齢別の目安を整理すると以下のとおりである。

年齢層推奨範囲根拠
18〜39歳(一般)0.8〜1.0g/kg/日厚労省RDA
18〜39歳(運動者)1.4〜2.0g/kg/日ISSN 2017
40〜64歳1.0〜1.6g/kg/日同化抵抗性の進行を考慮した目安(特定の学会ガイドラインではなく、上下の年齢層の推奨値からの推定)
65歳以上1.0〜1.2g/kg/日ESPEN/PROT-AGE
65歳以上(運動者)1.2〜1.6g/kg/日PROT-AGE + 運動負荷

プロテインで何杯分を補えばいいのか

食事だけでは目標量に届かない場合、プロテインで不足分を補うのが合理的である。日本人の平均的な食事からのタンパク質摂取量は約70g/日(令和元年国民健康・栄養調査)であり、一般成人のRDA(50〜65g)は食事だけで満たせる計算になる。

しかし、運動者の目標量(1.6g/kg/日=体重70kgで112g)を食事だけで達成するには、鶏むね肉300g(タンパク質約69g)に加えて卵2個(約12g)と牛乳200ml(約7g)を毎日摂取する必要があり、現実的には難しい場合がある。

プロテイン1食分(30g)のタンパク質量は製品によって異なる。

製品製法タンパク質/1食食事で不足する分への換算
DNS プロテインホエイ100WPC24.2g/35g2杯で48g補填
BAZOOKA WPC(プレーン)WPC22g/30g2杯で44g補填
VALX ホエイプロテイン WPCWPC22.1g/30g2杯で44g補填
SAVAS ホエイプロテイン100WPC19.5g/28g2杯で39g補填

本記事の製品スペックは各メーカー公式サイトの情報に基づく(2026年3月時点)。

体重70kgの運動者が食事で70gのタンパク質を摂取している場合、目標の112gまでの不足分は42gとなり、プロテイン2杯(製品により約39〜48g)で概ね補える計算となる。

よくある質問

タンパク質を摂りすぎるとどうなるか

現時点で、健常者がタンパク質を過剰摂取した場合に健康被害が生じるという明確なエビデンスはない。厚生労働省はタンパク質の耐容上限量(UL)を設定していない。ただし、腎機能が低下している場合はタンパク質摂取量の制限が推奨されるため、腎疾患の既往がある場合は医療専門家に相談されたい。

植物性タンパク質と動物性タンパク質は同じ量で同じ効果か

動物性タンパク質(肉・魚・卵・乳製品)は必須アミノ酸のバランスが良く、ロイシン含有量が高い傾向がある。植物性タンパク質(大豆・豆類・穀類)はロイシン含有量が比較的低く、吸収率も動物性よりやや低いと報告されている。植物性中心の食事の場合は、動物性の場合より10〜20%多くのタンパク質摂取が望ましいとする見解があるが、正確な補正量についてのエビデンスは限定的である。

プロテイン1食分のタンパク質量は目標摂取量のどれくらいをカバーできるのか

一般的なホエイプロテイン1食(25〜35g)のタンパク質量は19〜24g程度である。体重70kgの運動者の目標(1.6g/kg=112g/日)に対して約17〜21%、厚労省推奨量(65g/日)に対して約29〜37%に相当する。1日2杯で約40〜48gを補えるため、食事と合わせて効率的にタンパク質を確保できる。

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参考文献

  • 厚生労働省 (2020)「日本人の食事摂取基準(2020年版)」.
  • WHO/FAO/UNU (2007) Protein and amino acid requirements in human nutrition. WHO Technical Report Series, 935.
  • Jäger R, Kerksick CM, Campbell BI et al. (2017) International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14, 20.
  • Morton RW, Murphy KT, McKellar SR et al. (2018) A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British Journal of Sports Medicine, 52(6), 376-384.
  • Longland TM, Oikawa SY, Mitchell CJ, Devries MC, Phillips SM (2016) Higher compared with lower dietary protein during an energy deficit combined with intense exercise promotes greater lean mass gain and fat mass loss. American Journal of Clinical Nutrition, 103(3), 738-746.
  • Lonnie M, Hooker E, Brunstrom JM et al. (2018) Protein for Life: Review of Optimal Protein Intake, Sustainable Dietary Sources and the Effect on Appetite in Ageing Adults. Nutrients, 10(3), 360.