プロテインは1日何回・いつ飲むのが正解か — 回数・タイミング・量の最適解

プロテインの最適な摂取回数・タイミング・1回あたりの量をMamerow 2014・Moore 2009・Res 2012等の研究から整理。均等配分でMPS+25%、1回20〜40g、起床後・運動前後・就寝前の4タイミング別に推奨プロテイン種類を比較する。

  • プロテイン
  • タイミング
  • 摂取回数
  • 筋タンパク質合成
  • MPS
  • 均等配分
  • 就寝前プロテイン

プロテインの摂取は「1日の総量」と「均等配分」の2つが最も重要である。Mamerow et al.(2014, Journal of Nutrition)は、タンパク質を3食に均等配分(30g×3回)した群が、偏った配分(朝10g・昼16g・夕65g)の群と比較して24時間の筋タンパク質合成(MPS: Muscle Protein Synthesis)が約25%高かったと報告している。1回あたり20〜40g、1日3〜4回の摂取がエビデンス上の目安となる。

なぜタンパク質の「均等配分」が重要なのか

タンパク質の摂取量が同じでも、配分パターンによって筋タンパク質合成の効率が変わる。その理由は、1回の食事で起動できるMPSに上限が存在するためである。

Mamerow et al.(2014, Journal of Nutrition)は、健康な成人8名(n=8)を対象としたクロスオーバーデザイン(crossover design)で、1日のタンパク質総摂取量を約90gに固定した上で、均等配分群(朝30g・昼30g・夕30g)と偏り配分群(朝10g・昼16g・夕65g)に分けて24時間の筋タンパク質合成を測定した。その結果、均等配分群のMPSは偏り配分群より約25%高かった。

偏り配分群では、夕食の65gに含まれるタンパク質の一部がMPS起動に利用されず、酸化(エネルギーとして消費)されたと考えられる。ただし、この研究は小規模(n=8)であり、大規模集団での再現性の検証は進行中である。

この知見を支持する別の研究として、Areta et al.(2013, Journal of Physiology)は、レジスタンストレーニング後12時間にわたって同量(80g)のホエイプロテインを摂取させる際、配分パターンを変えてMPSを比較した。4回×20gの均等配分群が、2回×40gの集中摂取群や8回×10gの少量頻回群よりMPSが高かったと報告しており、均等配分の優位性は複数の研究で示されている。

Moore et al.(2009, American Journal of Clinical Nutrition)は、レジスタンストレーニング(resistance training)後の若年男性において、卵タンパク質の摂取量を0g・5g・10g・20g・40gと変化させてMPSを測定した。20gでMPSはプラトー(plateau)に達し、40gでは20gと比較して統計的に有意な追加上昇は認められなかった。この知見は「1回の食事で60gや70gを摂っても、MPSの上乗せは限定的」ということを意味する。

つまり、1日90gのタンパク質が必要な場合、夕食に集中して摂取するよりも、30g×3回に分けたほうがMPSの起動回数が増え、24時間トータルの筋タンパク質合成が効率化される。

1回に摂取すべきタンパク質量はどれくらいか

「1回20g」というMPSプラトーの数値は広く知られているが、この数値はすべての条件に当てはまるわけではない。体重・年齢・トレーニング内容によって最適な摂取量は変動する。

Moore et al.(2009, American Journal of Clinical Nutrition)のデータは、若年男性(平均体重約86kg)を対象にレジスタンストレーニング後に測定されたものである。20gでMPSがプラトーに達し、40gでは酸化指標(尿素窒素排泄量)が有意に増加した。

これは、若年者では20gを超える分のタンパク質がMPSではなくエネルギー基質として利用される割合が高まることを示している。

一方、Macnaughton et al.(2016, Physiological Reports)は、全身レジスタンストレーニング(複数の筋群を動員するトレーニング)後では結果が異なることを報告した。この研究では、全身トレーニング後に20gまたは40gのホエイプロテインを摂取させた結果、40g群が20g群よりMPSが約20%高かった。

全身トレーニングでは刺激される筋肉量が大きいため、アミノ酸の需要が増し、20gでは不足する場合があると解釈されている。

年齢も重要な変数である。40代以降は同化抵抗性(anabolic resistance)により、同じ量のタンパク質を摂取してもMPS応答が低下する。Katsanos et al.(2006, American Journal of Physiology - Endocrinology and Metabolism)によれば、若年者では1食あたりロイシン(leucine)1.7gでMPSが最大化するのに対し、高齢者では2.5〜3.0gが必要とされる。タンパク質量に換算すると、高齢者は1回30〜40gが目安となる。

実用上の指針としては、若年者(20〜30代)で下半身や単関節種目中心のトレーニング後は20〜25g、全身トレーニングや体重80kg以上の場合は30〜40g、40代以降は30〜40gを1回の目安とするのが現在のエビデンスに基づく考え方である。

プロテインを飲むべきタイミングはいつか

プロテインの摂取タイミングとして議論されるのは、起床後・運動前・運動後・就寝前の4つである。それぞれの根拠と推奨されるプロテインの種類を整理する。

Schoenfeld et al.(2013, Journal of the International Society of Sports Nutrition)のメタ分析は、タンパク質摂取タイミングの効果について重要な結論を示している。23件の研究を統合した結果、タイミングの効果は1日の総タンパク質摂取量を統制すると有意でなくなった。つまり、「いつ飲むか」よりも「1日に合計でどれだけ飲むか」のほうが筋肥大・筋力への寄与が大きい。ただし、トレーニング前後4時間以上タンパク質を摂取しない状態は避けるべきとも述べている。

エビデンスの重み付けとしては、総量 > 配分 > タイミングの順に筋肥大・筋力への寄与が大きい。タイミングの最適化は、総量と配分が確保された上での微調整であり、「やらないよりはやったほうが合理的」というレベルの推奨である。この前提のもと、各タイミングの意義を整理する。

以下の表に、タイミング別の目的・推奨量・推奨プロテイン種類をまとめた。

タイミング目的推奨量(目安)推奨プロテイン種類理由
起床後絶食後の異化状態を速やかに解消する20〜30gWPI・EAA速やかなアミノ酸供給が合理的
運動60〜90分前運動中のアミノ酸供給20〜30gWPC・WPI(60〜90分前)、WPH・EAA(30〜45分前)消化時間に応じて種類を選択
運動直後MPS起動20〜40gWPH・WPI・WPCロイシン含有量が高いホエイ
就寝前夜間の異化抑制30〜40gカゼイン緩やかな吸収が持続

※コスト目安: WPC < WPI < WPH < EAA の順に価格が上がる傾向がある。コストを抑えたい場合はWPC・WPIを中心に選択し、吸収速度を優先したい運動前後にWPH・EAAを限定的に使うのが現実的である。 ※本表はホエイ・カゼイン系を中心に整理した。植物性プロテイン(ソイ・ピー等)はロイシン含有量や吸収特性が異なるため、選択時にはこれらの違いを考慮する必要がある。

起床後は、7〜8時間の絶食状態で血中アミノ酸濃度が低下しているため、速やかにアミノ酸を供給できるWPI(Whey Protein Isolate / 分離ホエイプロテイン)やEAA(Essential Amino Acids / 必須アミノ酸)が合理的である。WPH(Whey Protein Hydrolysate / 加水分解ホエイプロテイン)も吸収速度の面では適しているが、コスト面を考慮すると起床後の常用にはWPIやEAAのほうが現実的な選択肢である。

運動前は、トレーニング開始時に血中アミノ酸濃度がピーク付近に達していることが理想的であり、トレーニングまでの時間によって選ぶべき種類が変わる。運動直後は、ロイシン含有量が高いホエイプロテイン(WPH・WPI・WPC(Whey Protein Concentrate / 濃縮ホエイプロテイン))がMPS起動に適している。

就寝前プロテインは本当に意味があるのか

就寝前のプロテイン摂取については「消化に悪い」「脂肪になる」といった懸念がしばしば語られるが、エビデンスはこの慣習を支持している。

Res et al.(2012, Medicine & Science in Sports & Exercise)は、レジスタンストレーニングを行った若年トレーニング経験男性を対象に、就寝30分前にカゼイン(casein)40gを摂取させた群とプラセボ群を比較した。その結果、カゼイン摂取群では夜間(7.5時間)の全身タンパク質合成率がプラセボ群より約22%高く、全身のタンパク質バランスが正味合成(ネットポジティブ)に転じた。プラセボ群では夜間を通じてタンパク質分解が合成を上回っていた。

ただし、この研究は一夜のみの急性MPS測定であり、被験者も若年トレーニング経験男性に限定されている。長期的な筋肥大への影響や、女性・高齢者への一般化については追加的な研究が必要である。カゼインが選ばれた理由は、その「スロータンパク質」としての特性にある。カゼインは胃内で酸性環境に触れると凝固し、ゆっくりと消化されるため、7〜8時間にわたって持続的にアミノ酸を血中に供給する。

この研究の実用的な示唆は明確である。夕食のタンパク質摂取量が十分であっても、就寝から起床までの7〜8時間は新たなタンパク質供給がない。この間に筋タンパク質の分解が合成を上回り、正味の分解状態が続く。就寝前にカゼイン30〜40gを摂取することで、この夜間の異化期間を短縮できる可能性がRes et al.(2012)の研究から示されている。

ただし、Schoenfeld et al.(2013)のメタ分析が示すように、最も重要なのは1日の総タンパク質摂取量である。就寝前のプロテインは「総量を確保した上での最適化手段」であり、総量が不足している状態で就寝前だけ飲んでも効果は限定的と考えられる。また、就寝前に40gのカゼインを摂取する場合、1日の総カロリーにその分が上乗せされる点にも留意が必要である。

よくある質問

プロテインを飲み忘れた食事がある場合、次の食事で2回分まとめて飲んでもよいか

Moore et al.(2009, American Journal of Clinical Nutrition)のデータでは、若年者で1回20gを超えるとMPSの追加上昇が小さくなった(40gで若干上昇したが20gとの差は限定的)。1回にまとめるより、次の食事で通常量を摂取し、間食等で追加の摂取機会を設ける方がMPSの効率が高いと考えられる。たとえば昼食で飲み忘れた場合、夕食で2回分の40〜60gを一度に摂るよりも、夕食で30gを摂り、就寝前に追加で20〜30gを摂るほうが、MPSの起動回数が増えるため合理的である。

WPH(加水分解ホエイ)は運動前後のどちらに適しているか

分子量350〜500DaのWPH製品はPepT1経由で吸収され、血中アミノ酸ピークは30〜60分とされる。運動30〜45分前に摂取すれば運動中にピークを迎え、運動直後であれば速やかにMPS起動のためのアミノ酸が供給される。加水分解により消化過程が短縮されるため、運動前後いずれのタイミングでも消化管への負担が少ない。運動前後の両方で摂取する場合は、1回あたり20〜30gを目安に総量を調整するとよい。

中高年(40代以降)はプロテインの量やタイミングを変えるべきか

同化抵抗性(anabolic resistance)により、加齢に伴い1食あたりのロイシン必要量が増加する(若年者1.7g vs 高齢者2.5〜3.0g)。同化抵抗性の研究で実際に対象となっている年齢層は50〜60歳以上が多いが、40代は予防的にロイシン量を意識し始める年代として位置付けられる。1回あたりのタンパク質量を30〜40gに増やし、ロイシン含有量の多い製品を選ぶことが合理的な選択肢である。タイミングの基本は若年者と同様に均等配分が重要であるが、特に朝食のタンパク質量が不足しやすい点に注意が必要である。

日本人の典型的な朝食(ご飯・味噌汁・漬物)ではタンパク質が10g前後に留まることが多く、朝食時のプロテイン追加が均等配分を実現する最も効果的な方法の一つである。

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参考文献

  • Areta JL, et al. (2013). Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis. Journal of Physiology, 591(9), 2319-2331.
  • Katsanos CS, et al. (2006). A high proportion of leucine is required for optimal stimulation of the rate of muscle protein synthesis by essential amino acids in the elderly. American Journal of Physiology - Endocrinology and Metabolism, 291(2), E381-E387.
  • Macnaughton LS, et al. (2016). The response of muscle protein synthesis following whole-body resistance exercise is greater following 40 g than 20 g of ingested whey protein. Physiological Reports, 4(15), e12893.
  • Mamerow MM, et al. (2014). Dietary protein distribution positively influences 24-h muscle protein synthesis in healthy adults. Journal of Nutrition, 144(6), 876-880.
  • Moore DR, et al. (2009). Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. American Journal of Clinical Nutrition, 89(1), 161-168.
  • Res PT, et al. (2012). Protein ingestion before sleep improves postexercise overnight recovery. Medicine & Science in Sports & Exercise, 44(8), 1560-1569.
  • Schoenfeld BJ, Aragon AA, Krieger JW. (2013). The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 10(1), 53.