子どもにプロテインを飲ませてよいのか — 成長期のタンパク質需要と安全性の科学的根拠

子どものタンパク質必要量・プロテインサプリの安全性・ジュニア向け製品の特徴を、食事摂取基準と論文データに基づいて整理。年齢別の推奨摂取量、成長期の過剰摂取リスク、甘味料の選び方も解説する。

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本記事は公開された学術論文および公的機関の情報に基づく事実の整理であり、特定の疾患の診断・治療・予防を目的としたものではない。個別の健康上の判断は医師・管理栄養士等の医療専門家に相談されたい。

子どもにプロテインサプリメントを与えることの是非は、年齢によって根拠が大きく異なる。乳幼児期(0〜2歳)においては、高タンパク質摂取が後年の肥満リスクと関連することが複数のランダム化比較試験(RCT)で報告されている(Koletzko et al., 2009, American Journal of Clinical Nutrition)。一方、学童期以降のスポーツ実施者については、通常の食事で推奨量を満たせているケースが多く、サプリメントの必要性は食事の充足度によって異なると考えられている。

子どもに必要なタンパク質量はどのくらいか

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、子どものタンパク質推奨量を年齢・性別ごとに定めている。なお2025年版が2025年4月から適用されているが、子どものタンパク質推奨量に大きな変更はない。1〜2歳は男女とも20 g/日、3〜5歳は25 g/日、6〜7歳は30 g/日、8〜9歳は40 g/日、10〜11歳は男45 g/日・女50 g/日、12〜14歳は男60 g/日・女55 g/日、15〜17歳は男65 g/日・女55 g/日とされている。

体重1 kgあたりに換算すると、幼児期(3〜5歳)は約1.0〜1.5 g/kg/日、学童期(6〜11歳)は約0.8〜1.0 g/kg/日程度となる(体重25〜40 kgを想定した概算)。成人の推奨量(0.8〜1.0 g/kg/日)と比較して大きな差はなく、体格に見合った摂取量が基準となる。

Volterman & Atkinson(2016, Pediatric Exercise Science)は、現行の食事摂取基準(DRI: Dietary Reference Intakes)が「主として幼児の窒素出納データまたは成人値からの外挿であり、通常以上の身体活動レベルを考慮していない」と指摘している。特に競技スポーツに取り組む子どもでは、推奨量の見直しが必要となる可能性があるという。

食事だけで子どものタンパク質需要は満たせるのか

一般的な食生活を送る子どもの大半は、食事からの摂取で推奨量を満たしていると考えられている。牛乳200 mLあたりタンパク質約6.6 g、鶏むね肉100 gあたり約22 g、卵1個あたり約6 gであり、1日3食の食事で30〜60 gの摂取は現実的に達成可能な水準である。

カナダ人ジュニアアスリート187名(11〜18歳)を対象とした調査では、タンパク質摂取量の中央値が11〜13歳男性で2.4 g/kg/日、14〜18歳男性で2.0 g/kg/日に達していた(Parnell, Wiens & Erdman, 2016, Nutrients)。これは食事摂取基準の推奨量を大きく上回っており、スポーツ実施者の多くが食事のみで十分なタンパク質を摂取していることを示している。

Sports Dietitians Australia のポジションスタンドは、思春期アスリートについて「高品質のタンパク質源を1日を通じて定期的に摂取することが重要」とし、食事を基本としたアプローチを推奨している(Desbrow et al., 2014, International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism)。プロテインサプリメントの使用は、食事での摂取が困難な場合の補完手段として位置づけられている。

プロテインサプリメントを子どもに与えるリスクはあるのか

年齢によってリスクの性質が異なる点に注意が必要である。乳幼児期(0〜2歳)については、高タンパク質摂取が後年の過体重・肥満と関連することを示すエビデンスが複数報告されている。

Koletzko et al.(2009, American Journal of Clinical Nutrition)は、1,138名の乳児を対象としたRCTで、低タンパク粉ミルク群(1.77/2.2 g protein/100 kcal)は高タンパク群(2.9/4.4 g protein/100 kcal)と比較し、生後24ヶ月時の身長あたり体重 z スコアが0.20低値であったと報告している。これは乳幼児期の過剰なタンパク質摂取が体組成に影響を与えうることを示した知見である。さらに11年間のフォローアップ研究でも、高タンパク粉ミルク群ではadiposity rebound(脂肪蓄積反跳)時のBMIが有意に高値であったことが報告されている(Totzauer et al., 2022, Pediatric Obesity)。この「Early Protein Hypothesis(早期タンパク仮説)」は、乳幼児期の過剰なタンパク質摂取を避けることの根拠として広く参照されている。

学童期以降については、腎臓や骨への影響を懸念する声があるものの、成人を対象とした研究では通常の食事由来のタンパク質摂取量の範囲内において腎機能への有害な影響は確認されていない(Devries et al., 2018, Journal of Nutrition)。子どもを対象とした長期データは限定的であるが、現時点では健康な子どもの通常の食事範囲での高タンパク摂取が腎臓・骨に悪影響を及ぼすという根拠は乏しい。ただし、プロテインサプリメントは甘味料・添加物・重金属汚染のリスクを伴う製品も流通しており、製品選択の際には成分表示の確認が求められる。

ジュニア向けプロテイン製品にはどのような特徴があるのか

国内で流通するジュニア向けプロテイン製品は、1食あたりのタンパク質量を8〜10 g程度に抑えた設計が主流である。大人向け製品の1食あたり20〜22 gと比較して半分以下であり、子どもの体格と消化能力に合わせた量となっている。

ジュニア向け製品の特徴として、カルシウム・鉄・ビタミン類の配合が挙げられる。骨形成・血液形成に関わるこれらの栄養素を配合することで、成長期に不足しやすい微量栄養素を補う設計となっている点は大人向け製品との主要な違いである。甘味料については、ジュニア向けでは砂糖・果糖系を使用している製品が多い。

以下の表に主要なジュニア向けプロテイン製品と大人向け製品の比較を示す(各メーカー公式サイト情報に基づく、2026年3月時点)。

製品名ブランド対象タンパク質/1食主な甘味料Ca配合鉄配合ビタミン
SAVASジュニアプロテイン明治10歳以上約8〜10 g砂糖系(公式サイト確認推奨)ありあり10種以上
ウイダージュニアプロテイン森永製菓小中学生8.7 g/20 g砂糖・果糖ありあり10種
BAZOOKA WPC(参考)BAZOOKA NUTRITION一般向け21〜22 g/30 gステビア・羅漢果(天然)なしなしビタミンB6のみ
BAZOOKA WPH(参考)BAZOOKA NUTRITION一般向け20.1〜20.5 g/30 g羅漢果(天然)なしなし13種

※表はタンパク質含有量降順で整理。ジュニア向け製品は成分が更新されることがあるため、最新情報はメーカー公式サイトで確認すること。大人向け製品(BAZOOKA)は比較参考として掲載。

ジュニア向け製品が子どもに対して特別な安全性保証を提供するわけではなく、プロテインサプリメント全般の使用にあたっては、食事充足度の評価を先行させることが重要と考えられている。

よくある質問

Q. 小学生にプロテインを飲ませてよい年齢はいつからか?

厚生労働省の食事摂取基準に基づく推奨量は6〜7歳で30 g/日であり、通常の食事(牛乳・卵・肉・魚・大豆製品)で多くの場合に充足できる水準である。プロテインサプリメントの使用が検討されるのは、食事摂取が困難な状況や、競技スポーツに取り組む中で食事からの摂取が追いつかない場合に限られると考えられている。使用を検討する際は管理栄養士等の専門家への相談が望ましい。

Q. 乳幼児にプロテインを与えることは避けたほうがよいか?

0〜2歳の乳幼児期については、高タンパク質摂取と後年の肥満リスクの関連を示すRCTが複数報告されている(Koletzko et al., 2009; Totzauer et al., 2022)。母乳・育児用粉ミルク・離乳食で構成される通常の食事において、プロテインサプリメントを追加する必要性は一般に低いと考えられている。

Q. 子ども向けプロテインを選ぶ際に甘味料は問題になるか?

ジュニア向け製品は砂糖・果糖系の甘味料を使用するものが多い。一部の大人向け製品には人工甘味料を使用しないタイプも存在し、人工甘味料の子どもへの影響については研究が継続中であり、感受性や個人差も考慮が必要と考えられている。天然甘味料を使用する製品としてはBAZOOKA WPH(羅漢果)・GronG NATURAL WPC(無添加プレーン)・ALPRON NATURAL WPC(無添加プレーン)などが選択肢となる。甘味料の種類と子どもへの影響については「プロテインの甘味料を子どもの前で選ぶ際の判断基準」で詳しく整理している。

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参考文献

  • Koletzko, B., von Kries, R., Closa, R., Escribano, J., Scaglioni, S., Giovannini, M., … & Grote, V. (2009). Lower protein in infant formula is associated with lower weight up to age 2 y: a randomized clinical trial. American Journal of Clinical Nutrition, 89(6), 1836–1845. DOI: 10.3945/ajcn.2008.27091
  • Totzauer, M., Escribano, J., Closa-Monasterolo, R., Luque, V., Verduci, E., ReDionigi, A., … & Koletzko, B. (2022). Long-term effect of lower versus higher protein content in infant formula on BMI at 11 years: follow-up of a randomized controlled trial. Pediatric Obesity, 17(12), e12961. DOI: 10.1111/ijpo.12961
  • Volterman, K. A., & Atkinson, S. A. (2016). Protein needs and dietary protein intake in active youth: current evidence and future research needs. Pediatric Exercise Science, 28(2), 187–193. DOI: 10.1123/pes.2015-0257
  • Parnell, J. A., Wiens, K. P., & Erdman, K. A. (2016). Dietary intakes and supplement use in pre-adolescent and adolescent Canadian athletes. Nutrients, 8(9), 526. DOI: 10.3390/nu8090526
  • Desbrow, B., McCormack, J., Burke, L. M., Cox, G. R., Fallon, K., Hislop, M., … & Leveritt, M. (2014). Sports Dietitians Australia position statement: sports nutrition for the adolescent athlete. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 24(5), 570–584. DOI: 10.1123/ijsnem.2014-0031
  • Devries, M. C., Sithamparapillai, A., Brimble, K. S., Banfield, L., Morton, R. W., & Phillips, S. M. (2018). Changes in kidney function do not differ between healthy adults consuming higher- compared with lower- or normal-protein diets: a systematic review and meta-analysis. Journal of Nutrition, 148(11), 1760–1775. DOI: 10.1093/jn/nxy197
  • 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html