ステビアとは — プロテインの天然甘味料ステビオール配糖体の特性と安全性

ステビアはキク科植物由来のステビオール配糖体を主成分とする天然甘味料である。ステビオール配糖体全体の甘味度は砂糖の40〜300倍、JECFA・EFSAはADIを体重1kgあたり4mgに設定する。種類別の味の違いと人工甘味料との比較、プロテインでの使用実態を整理する。

本記事は公開された学術論文および公的機関の情報に基づく事実の整理であり、特定の疾患の診断・治療・予防を目的としたものではない。個別の健康上の判断は医師・管理栄養士等の医療専門家に相談されたい。

ステビア(stevia)は、南米原産のキク科植物ステビア(Stevia rebaudiana)の葉から抽出される天然甘味料で、甘味成分ステビオール配糖体は全体として砂糖の40〜300倍の甘さを持つ(EFSA, 2010)。JECFA・EFSAはいずれも1日摂取許容量(ADI)を体重1kgあたり4mg(ステビオール等量)に設定しており、これは合成甘味料のスクラロース・アセスルファムK(ADI 15mg/kg)より低い値である。カロリーはほぼゼロで、プロテイン製品では羅漢果と並ぶ天然甘味料の選択肢として使われている。

ステビアとは何か — キク科植物から抽出される天然甘味料

ステビアは、パラグアイ・ブラジル原産のキク科植物ステビア(Stevia rebaudiana)の葉に含まれる配糖体成分の総称であり、化学的にはステビオール(steviol)という共通骨格に複数の糖が結合した構造を持つ。葉から熱水抽出したのち精製・濃縮する工程を経て、食品添加物として流通する高純度エキスに加工される。EFSA(2010)はステビオール配糖体全体の甘味度を砂糖の40〜300倍と報告しており、成分によって幅がある。

精製工程では複数の配糖体が混在した状態から目的成分を分離するため、製品によって主成分となる配糖体の種類が異なる。古くから流通してきたステビオシド(stevioside)と、近年主流になりつつあるレバウディオサイドA(Reb A)・レバウディオサイドM(Reb M)では、甘味の質と苦味の出方が異なることが知られている。種類別の違いは次のセクションで整理する。

ステビオール配糖体にはどんな種類があるのか — レバウディオサイドA・M・Dの味の違い

ステビオール配糖体の甘味度はステビオシドが砂糖の110〜270倍、レバウディオサイドAが150〜320倍とされる(EFSA, 2010)。消費者官能評価では、レバウディオサイドMの甘味強度がA・Dより高く評価される一方、苦味の強さは逆にAが最大という結果が報告されている(Tao & Cho, 2020, Foods)。同じ「ステビア」という名称でも、配糖体の種類によって味の印象は大きく変わる。

Tao and Cho(2020)は15cm尺度の消費者官能評価により、甘味強度をレバウディオサイドM 8.6±0.3・D 7.8±0.3・A 7.2±0.3と測定した(対照の14%スクロース溶液は8.3±0.3)。苦味強度はAが3.5±0.3で最も高く、D・Mは1.0〜1.1にとどまる。1分後に残る後味の甘さもMが5.3±0.3で最も強く、精製度の高いレバウディオサイドMほど雑味が少なく評価される傾向がうかがえる。

レバウディオサイドMの正確な甘味倍率については、査読済みの学術論文で単一の数値を確認できていない。業界レビューや特許文献では砂糖の300〜450倍程度という記載も見られるが、これは二次資料に基づく概数であり、EFSA(2010)がステビオシド・レバウディオサイドAで示している一次評価データとは性質が異なる点に留意したい。

Tan et al.(2019, Food Research International)による60秒間の時間経過型官能評価(TCATA法)では、ステビア(レバウディオサイドA)は羅漢果と同様に、苦味・金属味・化学的な副次的風味が持続する傾向が確認されている。砂糖は摂取後10秒以内に甘味がピークに達して急速に減衰するのに対し、ステビアはこうした副次的な風味が長く残る点が対照的だ。

ステビアの安全性はどう評価されているか — JECFA・EFSAが設定したADI

ステビオール配糖体のADIは、JECFAが2008年(第69回会合)に体重1kgあたり4mg(ステビオール等量)として確定し、EFSA(2010)も同水準で評価している。この値は、ラットを用いた2年間の発がん性試験で得られたNOAEL(無毒性量)383mg/kg体重/日に安全係数100を適用して算出された。EFSA(2024)は再評価でADIを6または16mg/kgへ引き上げる提案を「根拠不十分」として退け、現行の4mg/kgを維持している。

JECFAは2004年の第63回会合でまず暫定ADI(0〜2mg/kg体重/日)を設定し、その後追加提出された血圧・血糖恒常性に関する臨床試験データを踏まえ、2008年に本ADIへ切り替えた。この評価は2016年の第82回会合で再確認されている。なおEFSA(2024)の再評価では、乳児・幼児(infant・toddler)の一部で95パーセンタイルの摂取量がADIを超過するリスクが指摘されており、成人向けの評価とは別に注意が向けられている。

腸内環境への影響については、健常成人59名(女性36名・男性23名、平均31±9歳)を対象にしたランダム化二重盲検試験がある。ADIの25%相当のステビア飲料を4週間摂取させたKwok et al.(2024, The Journal of Nutrition)の報告では、腸内細菌叢のプロファイル・短鎖脂肪酸産生・血糖や心代謝の主要指標に有意な悪影響は確認されなかった。ただしこの試験の摂取量はADIの4分の1相当であり、より高用量・長期摂取での影響までは示していない。

血糖値との関係については、26件の研究・被験者1,439名を対象にしたZare et al.(2024, Diabetes and Metabolic Syndrome)のメタ解析があり、ステビア摂取で空腹時血糖の平均差(WMD)が-3.84(95%信頼区間: -7.15〜-0.53)と有意に低下したと報告されている。この効果はBMIが高い層・糖尿病・高血圧を持つ被験者群で顕著であり、HbA1cやインスリン濃度には有意差が見られなかった。健康な一般トレーニーにこの結果をそのまま当てはめられるかは、この研究だけでは判断できない。

ステビアと人工甘味料はどう違うのか — 5種の甘味料を比較する

甘味度で比較すると、スクラロース(約600倍)が最も高く、羅漢果(250〜425倍)・ステビアのレバウディオサイドA(150〜320倍)が続き、アセスルファムK(約200倍)・アスパルテーム(180〜200倍)は同程度の水準にある。一方でADIを見ると、天然甘味料であるステビア(4mg/kg)は、合成甘味料のスクラロース・アセスルファムK(いずれも15mg/kg)より低い値に設定されている。甘味度の高さとADIの水準は必ずしも一致しない。

甘味料甘味倍率(砂糖比)カロリー天然/合成ADI(mg/kg体重/日)後味の特徴プロテインでの採用例
スクラロース約600倍0kcal合成15(JECFA・EFSA)残留甘味が長く続く(Tan et al., 2019)25ブランド / 50件
羅漢果(モグロシドV)250〜425倍0kcal天然未設定(FDA GRAS認定)苦味・化学的副味あり(Tan et al., 2019)2ブランド / 4件
ステビア(レバウディオサイドA)150〜320倍0kcal天然4(ステビオール等量、JECFA・EFSA)3配糖体中で苦味が最大(Tao & Cho, 2020)26ブランド / 34件
アセスルファムK約200倍0kcal合成15(EFSA、2025に9から引き上げ)金属様の後味・苦味12ブランド / 21件
アスパルテーム180〜200倍4kcal/g(微量使用のため実質ゼロ)合成40(JECFA・EFSA)熱に弱く甘味が減退しやすい11ブランド / 17件

※甘味倍率は各甘味料の上限値を基準に降順で整理した。ADI・甘味倍率はJECFA・EFSAの公式評価、採用数は本サイトDB product_specs集計(2026年7月時点)に基づく。同一ブランドでもフレーバーによって甘味料構成が異なる場合がある(例: BAZOOKA WPCはプレーンが羅漢果、チョコ等はステビア。SAVASソイプロテイン100はバナナ味がステビア、ココア等は人工甘味料。Choice GOLDEN WHEYはプレーンが甘味料無添加、フレーバー品はステビア)。

「天然だから安全」という理解は正確ではない。ステビア・羅漢果はいずれも天然由来だが、羅漢果はADIが設定されておらずFDAのGRAS認定の枠組みで評価されているのに対し、ステビアはJECFA・EFSAが具体的な数値でADIを設定している。天然か合成かという区分よりも、規制機関がどこまで定量的な評価を行っているかを見るほうが実態に近い。

プロテイン製品でステビアはどう使われているか

国内プロテイン市場では、天然甘味料としてステビアを採用するブランド数が羅漢果より多い。本サイトのDB product_specs(2026)の集計では、ALPRON・uFit・MADPROTEIN・ULTORAなどが天然甘味料としてステビアのみを使用しており、GOLD STANDARDやVALXのように人工甘味料と併用する製品も存在する。同一ブランドでもフレーバーによって甘味料が異なるケースがあるため、原材料表示の確認が欠かせない。

フレーバー別に甘味料が変わる例として、BAZOOKA WPCはプレーン風味に羅漢果エキスを、チョコレート・ストロベリー風味にステビアを使用している。SAVASソイプロテイン100もバナナ味はステビア、ココア・ミルクティー味はアスパルテーム等の人工甘味料と、フレーバーによって甘味料構成が分かれる。Choice GOLDEN WHEYはプレーンが甘味料無添加でフレーバー品のみステビアを使用するなど、製品ライン内での使い分けは珍しくない。

GOLD STANDARD 100% WheyやVALX EAA9のように、スクラロース・アセスルファムK・ステビアを併用する製品もある。複数の甘味料を組み合わせることで単一の甘味料に頼らず甘さの質や後味を調整する設計が一般的であり、天然甘味料単独使用が必ずしも標準というわけではない。

よくある質問

ステビアは人工甘味料か

ステビアは植物抽出による天然甘味料であり、化学合成によって作られる人工甘味料とは区別される。ただし食品添加物として使用する際は、葉から抽出したエキスを精製・濃縮する工程を経ており、天然物をそのまま使っているわけではない。天然/合成という区分は製法上の違いを示すものであり、安全性の優劣を意味するものではない。

ステビア入りプロテインは安全か

JECFA・EFSAはステビオール配糖体のADIを体重1kgあたり4mg(ステビオール等量)に設定しており、プロテイン1食(約30g)に含まれる量でこの上限に達する可能性は低いと考えられる。ただし正確な含有量を公開しているメーカーは少なく、他の食品からの摂取量と合算した場合の充足率は個別には算出しにくい。持病がある場合や摂取量が気になる場合は、医師・管理栄養士に相談されたい。

ステビアは腸内環境に影響するか

健常成人59名を対象にADIの25%相当のステビア飲料を4週間摂取させたランダム化二重盲検試験では、腸内細菌叢のプロファイルや短鎖脂肪酸産生に有意な悪影響は確認されなかった(Kwok et al., 2024, The Journal of Nutrition)。ただしこの試験の対象は健常成人59名に限られ、より高用量や長期摂取での影響までは示されていない。腸の状態に不安がある場合は少量から試すなど、個別に調整するのが無難だろう。

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参考文献

  • EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS). (2010). Scientific Opinion on the safety of steviol glycosides for the proposed uses as a food additive. EFSA Journal, 8(4), 1537. (https://doi.org/10.2903/j.efsa.2010.1537)
  • EFSA Panel on Food Additives and Flavourings (FAF). (2024). Scientific opinion on the extension of the authorisation of use of the food additive steviol glycosides (E 960a–d) and the modification of the acceptable daily intake (ADI) for steviol. EFSA Journal, 22(11), e9045. (https://doi.org/10.2903/j.efsa.2024.9045)
  • Zare M, Zeinalabedini M, Ebrahimpour-Koujan S, Bellissimo N, Azadbakht L. (2024). Effect of stevia on blood glucose and HbA1C: A meta-analysis. Diabetes and Metabolic Syndrome: Clinical Research & Reviews, 18(7), 103092. (https://doi.org/10.1016/j.dsx.2024.103092)
  • Kwok D, Scott C, Strom N, Au-Yeung F, Lam C, Chakrabarti A, Hutton T, Wolever TMS. (2024). Comparison of a Daily Steviol Glycoside Beverage compared with a Sucrose Beverage for Four Weeks on Gut Microbiome in Healthy Adults. The Journal of Nutrition, 154(4), 1298-1308. (https://doi.org/10.1016/j.tjnut.2024.01.032)
  • Tao R, Cho S. (2020). Consumer-Based Sensory Characterization of Steviol Glycosides (Rebaudioside A, D, and M). Foods, 9(8), 1026. (https://doi.org/10.3390/foods9081026)
  • Tan VWK, Wee MSM, Tomic O, Forde CG. (2019). Temporal sweetness and side tastes profiles of 16 sweeteners using temporal check-all-that-apply (TCATA). Food Research International, 121, 39-47. (https://doi.org/10.1016/j.foodres.2019.03.019)