国内製造プロテインはどこで作られ原料はどこから来るのか — 主要14ブランドの工場所在地と原料原産国マップ

国内製造を表示している主要WPC/WPHプロテイン14ブランドの製造工場所在地(島根・栃木・岡山・茨城等)と、原料ホエイの原産国(米国・NZ・EU)を整理する。日本でホエイ国産化が困難な構造的理由(チーズ生産量の格差)も解説する。

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「国内製造プロテイン」は最終工程(充填・包装)が国内で行われた製品を指すが、原料となるホエイ自体の原産国は海外(米国・ニュージーランド・EU)であることが大半である。ホエイはチーズ製造の副産物として得られるが、その由来となる国産ナチュラルチーズの生産量は約4.5万トン(農林水産省「チーズの需給表」令和5年度)にとどまる一方、米国のチーズ総生産量は約640万トン(USDA NASS、2023年)に達し、約140倍の規模差がある。原料ホエイを国産化するには国内のナチュラルチーズ製造規模自体を100倍規模で拡大する必要があり、現状では構造的に困難である。

2026年5月時点で国内流通する主要WPC/WPHプロテインのうち、製造工場の所在地が公開されているものは島根県雲南市(株式会社アルプロン自社工場・FSSC22000認証・BAZOOKAも同工場で製造)、栃木県小山市(紫雲粉体株式会社・X-PLOSION)、岡山県倉敷市(明治・SAVAS)、茨城県水戸市(株式会社サプリスタンダード・GronG受託先)の4拠点に限られる。原料ホエイの原産国は米国・EU・ニュージーランドが主流であり、具体的な国名を公開しているブランドは14社中7社である。

「国内製造プロテイン」とは何を指すのか

食品表示法に基づく原料原産地表示制度は2017年施行、2022年に完全義務化された。輸入品を除く全ての加工食品について重量割合1位の原材料に原料原産地の表示が義務付けられており、プロテインパウダーも加工食品として同制度の対象である(消費者庁)(2022)。ラベルの原材料欄には「ホエイたんぱく(○○製造)」等の形で原産国が記載されている。「国内製造」の表示は最終的な製造工程が日本国内で行われていることを示すが、原料ホエイの産地とは別の情報である。

「国内製造」と「国産原料(国産ホエイ)」は意味が異なる。国内製造とは、粉末の充填・包装・検査といった最終加工工程を日本国内で行っていることを指す。原料ホエイがどこの国の牛乳から作られたかは、原材料欄の括弧書き(例:「乳清たんぱく(アメリカ製造)」)で確認する別の情報である。

日本市場で販売されている主要プロテインブランドのうち、原材料欄で原産国を具体的に確認できる製品でも、ほぼすべてが「アメリカ製造」「ニュージーランド製造」「ドイツ製造」等の表示になっている。「国内製造」と記載された製品を選んでも、原料ホエイは酪農先進国から輸入されているのが実態である。

国内主要ブランドの製造工場はどこにあるのか

2026年5月時点で製造工場の所在地(都道府県)を公開しているプロテインブランドは14ブランド中4ブランド(4製造拠点)にとどまる(各社公式サイト・プレスリリース)。GronG(茨城県・受託先:株式会社サプリスタンダード)、X-PLOSION(栃木県小山市・自社工場:紫雲粉体株式会社)、明治SAVAS(岡山県倉敷市・自社工場)、ALPRON自社工場(島根県雲南市・FSSC22000認証・BAZOOKA NUTRITIONも同工場)の4拠点が確認されている。残り10ブランドは「国内製造」と表示しているが都道府県レベルの工場所在地は非公開である。

以下の比較表は、公式サイト・プレスリリース等の公開情報に基づいて整理した(2026年5月時点)。所在地が公開されているブランドを北→南順に、所在地が非公開のブランドを末尾にまとめた。Myproteinは英国製造品として最末尾に区別している。

ブランド製造工場の所在地工場認証原料ホエイ原産国受託 / 自社
GronG茨城県水戸市(株式会社サプリスタンダード)非公開アメリカ製造受託製造
X-PLOSION栃木県小山市(紫雲粉体株式会社)ISO9001 / ISO22000アメリカまたはドイツ製造自社工場
明治 SAVAS岡山県倉敷市(明治自社工場)非公開(自社基準)外国製造(国名非公開)自社工場
ALPRON / BAZOOKA NUTRITION WPH島根県雲南市(アルプロン自社工場)FSSC22000 / Informed Choiceニュージーランド製造自社工場
BAZOOKA NUTRITION WPC島根県雲南市(アルプロン自社工場)FSSC22000 / Informed Choice外国製造(国名非公開)自社工場
VALX国内(都道府県非公開)GMP認定アメリカ製造受託製造
be LEGEND国内(都道府県非公開)Informed Choice(工場取得)NZ・豪・米・欧州等(または表示)受託製造
ULTORA国内(都道府県非公開)ISO9001 / ISO22000アメリカ・ニュージーランド製造受託製造
KENTAI国内(都道府県非公開)非公開非公開不明
森永 inバープロテイン国内(都道府県非公開)非公開非公開自社工場(詳細非公開)
FIXIT国内・FSSC22000認証工場(都道府県非公開)FSSC22000ドイツ製造(WPI) / イギリス製造(グラスフェッドWPC)受託製造
DNS(第一三共ヘルスケア)国内(都道府県非公開)GMP / Informed Choice北米・EU(米・独)製造受託製造
LIMITEST国内(都道府県非公開)非公開非公開不明
Myprotein ※海外製品イギリス(THGグループ工場)非公開(英国基準)EU・アメリカ製造海外製造(英国→シンガポール経由輸入)

出典: 各ブランド公式サイト・プレスリリース(2026年5月時点)

工場所在地を確認できる4拠点はいずれも自社工場または専用OEM工場であり、専門的な食品製造インフラが整備された地域に立地している。所在地が非公開のブランドも、「国内製造」と表示している以上は日本国内の工場を使用しているが、どの工場かは公開情報からは判断できない。

原料ホエイの原産国はなぜ海外が多いのか

ホエイ(whey)はチーズ製造の際に分離される副産物の液体であり、ホエイたんぱくはそれを濃縮・乾燥加工したものである。プロセスチーズはナチュラルチーズを溶融加工した二次加工品でホエイは発生しないため、ホエイ供給の比較ではナチュラルチーズ生産量が指標となる。日本の年間ナチュラルチーズ生産量は約4.5万トン(農水省「チーズの需給表」令和5年度)であるのに対し、米国のチーズ総生産量は約640万トン(USDA、2023年)に達し、約140倍の規模差がある。大量のホエイたんぱくを安定供給するには、ナチュラルチーズ生産規模自体が大きい必要があるため、国産ホエイたんぱくを大量生産することは現状では構造的に困難な状況にある。

グローバルホエイたんぱく市場の規模は約56億USD(Cognitive Market Research、2024)と推計される。主要供給地域は北米(米国・カナダ等で年間約70万MT規模のドライホエイ生産)、EU(年間約4,000万トンのホエイを処理)、ニュージーランド・英国等であり、日本のプロテインブランドの多くがこれらの地域から原料を調達している。EU主要国(ドイツ・フランス等)やニュージーランドも世界有数のチーズ・ホエイ生産地である。

したがって「国内製造プロテイン」の原料ホエイが海外産であることは、コストや品質の問題ではなく、チーズ生産量に基づく構造的な供給制約の結果である。米国・EU・ニュージーランドはいずれも酪農の歴史が長く、各国の食品安全基準に基づいて製造された原料を大量供給できる地理的条件を備えている。

国内製造でも原料原産国を公開している製品はどれか

2026年5月時点で原料ホエイの原産国を具体的な国名で公開しているブランドは14社中7社である(各社公式サイト・原材料表示)(2026)。DNS(北米・EU)、FIXIT(ドイツ製造 / イギリス製造)、GronG(アメリカ製造)、ULTORA(アメリカ・ニュージーランド製造)、VALX(アメリカ製造)、X-PLOSION(アメリカまたはドイツ製造)、BAZOOKA NUTRITION WPH(ニュージーランド製造)の7社は製品ページまたは原材料表示で産地を明示している。残り6社(国内製造ブランド)は「外国製造」または「非公開」であり、原産国の判断材料が限られる。

食品表示法の原料原産地表示制度では、原料供給国が複数にわたる場合に「または表示」(例:「NZ・豪・米・欧州等」)が認められており、be LEGENDのように複数国を列挙している製品もある。これは原料調達ルートの変動に対応した合法的な表示方式であり、単一国の表示との単純な比較はできない。

原料原産国の公開状況(14ブランド比較)

公開状況該当ブランド
非公開KENTAI、LIMITEST、森永inバー
「外国製造」のみBAZOOKA WPC、明治SAVAS
または表示(複数国)be LEGEND(NZ・豪・米・欧州等)
具体的な国名を公開DNS(北米・EU)、FIXIT(独/英)、GronG(米)、ULTORA(米/NZ)、VALX(米)、X-PLOSION(米/独)、BAZOOKA WPH(NZ)

原産国の公開度合いは各ブランドの情報開示方針によって異なる。「非公開」=品質が低いとは言えないが、原料産地を判断材料にしたい消費者にとっては情報が少ない状態である。

「国内製造」と「国産原料」を区別する3つの確認軸は何か

プロテインの製造情報を確認する際は、(1) 製造工場の所在地(都道府県)、(2) 原料ホエイの原産国、(3) 工場の認証規格(FSSC22000・ISO22000・GMP等)の3軸を区別して確認することが有効である(消費者庁資料・各社公式サイト)(2026)。製造場所が国内であっても原料が海外産であることがほとんどであり、工場認証の有無は工場の管理体制に関する情報であって製品の栄養価との優劣を直接示すものではない。

軸1: 製造工場の所在地(都道府県)

製品ラベルの「製造者」または「製造所所在地」欄に記載されることがある。ただし記載は義務ではなく、販売元の住所のみが記載されていることも多い。公式サイトや製品FAQで確認するのが確実である。

軸2: 原料ホエイの原産国

原材料欄の括弧書き「乳清たんぱく(○○製造)」で確認できる。複数国からの調達の場合は「または表示」となる場合がある。具体的な国名が記載されているほど情報の透明性が高い。

軸3: 工場認証規格

FSSC22000は食品安全マネジメントシステムの国際規格であり、定期的な第三者審査を伴う。ISO22000も同様の国際規格。GMP(製造管理・品質管理基準)はサプリメント製造での普及度が高い。認証の有無は工場の管理体制に関する情報であり、製品の栄養価や原料の産地とは独立した評価軸である。

よくある質問

Q. 「国内製造」と「国産」はどう違うのか

A. 「国内製造」は最終的な加工・包装が日本国内で行われていることを示す。「国産」は原料自体が国産(日本産)であることを意味する。プロテインの文脈では、「国内製造」と記載された製品でも原料ホエイは海外産であるのが実態であり、両者は一致しない。原料の産地を確認したい場合は、原材料欄の括弧書きで「○○製造」の表示を確認するのが確実である。

Q. 原料ホエイが国産の製品はあるのか

A. 2026年5月時点で、市販のホエイプロテイン(WPC・WPH)で原料ホエイが国産(日本産)であると明示している主要ブランドは確認できていない。日本の国産ナチュラルチーズ生産量は年間約4.5万トン(農水省「チーズの需給表」令和5年度)であり、米国のチーズ総生産量約640万トン(USDA、2023年)と比較して約140分の1の規模であるため、ホエイを大量生産するためのチーズ製造規模が現状では不十分である。一部の乳製品メーカーが少量の国産ホエイを加工している事例はあるが、大容量のプロテイン製品に安定供給できる規模には達していない。

Q. 製造工場が公開されていない製品は信頼できないのか

A. 製造工場の所在地の公開は義務ではなく、非公開であることが品質上の問題を意味するわけではない。大手メーカーの委託を受ける受託製造専門工場の中には、食品衛生法に基づくHACCPや各種認証を取得している施設も存在する。ただし工場所在地・認証情報を公開していないブランドについては、消費者が製造環境に関する情報を直接確認する手段が限られる。工場認証(FSSC22000・ISO22000・GMP等)の取得状況は、ブランドの公式サイトで確認できる場合もある。

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参考文献・情報源

  1. 消費者庁「加工食品の原料原産地表示制度について」(2017年9月施行・2022年4月完全義務化)https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/
  2. 農林水産省「チーズの需給表」(令和5年度)— 国産ナチュラルチーズ生産量 約45,100トン(4.5万トン)。出典: https://www.maff.go.jp/j/chikusan/gyunyu/lin/
  3. USDA NASS “Dairy Products 2023 Summary” — 米国チーズ総生産量 14.11十億ポンド(約640万メトリックトン)
  4. Cognitive Market Research「Global Whey Protein Market Report」2024 — 世界ホエイたんぱく市場 約56億USD
  5. 株式会社アルプロン 工場紹介ページ https://alpron.co.jp/factory/ (2026年5月参照)
  6. X-PLOSION 新工場稼働プレスリリース(2023年4月)https://x-plosion.jp/shout/press2023_01/
  7. 第一三共ヘルスケア株式会社 プレスリリース「DNS事業の譲受について」(2024年11月)https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/newsroom/release/corporate241101.html