原材料がシンプルなプロテインはどれか — 添加物の少なさで選ぶ
国内主要プロテイン9製品の原材料数を比較。NOVA分類・UPF研究の背景、添加物の種類と役割、ビタミン配合による原材料数の増加をどう解釈すべきかを整理。シンプルな処方を選ぶ基準も提示する。
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プロテインパウダーの原材料数は製品によって大きな差がある。2026年3月時点で国内主要9製品を比較すると、最少はマイプロテイン Impact Wheyノンフレーバーの2項目、最多はBAZOOKA WPHの21項目である。ただし原材料数の多寡だけで製品の安全性は判断できない。マルチビタミン13種を配合する製品と、人工甘味料3種を組み合わせる製品では、原材料が多い理由がまったく異なる。
原材料表示から製品の品質を読み取るには、「何が入っているか」だけでなく「なぜ入っているか」を理解する必要がある。
なぜプロテインの原材料数が注目されているのか
近年、超加工食品(ultra-processed food / UPF)と健康リスクの関連を示す研究が蓄積されている。Lane et al.(2024, BMJ)は45件のメタ分析を統合したアンブレラレビューにおいて、UPF摂取と32の健康パラメータ(71%)に直接的な関連を確認した。心血管疾患関連死亡および2型糖尿病の発症リスク上昇については「確信的(convincing)」エビデンスがあると評価されている。
NOVA分類(Monteiro et al., 2019, Public Health Nutrition)において、プロテインパウダーはGroup 4(UPF)に分類される。UPFの定義は「工業的な原料や添加物(乳化剤、増粘剤、人工甘味料、着色料、香料等)を使用した製品」であり、プロテインパウダーは乳化剤や甘味料を含むため、この定義に該当する。
ただし、同じUPFに分類される製品の中でも、添加物の種類と量には大きな差がある。Dunford et al.(2023, Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics)は米国の食品購入データ(2001〜2019年)を分析し、添加物を含む食品の割合が49.6%から59.5%へ増加したと報告している。製品あたりの添加物数も平均3.7種から4.5種に増えており、添加物の累積的な健康影響(カクテル効果)については研究が不十分であり、現時点では結論が出ていない。
プロテインに使われる添加物にはどんな種類があるのか
プロテインパウダーに使用される添加物は、その役割によって以下のカテゴリに分類できる。
乳化剤(レシチン等)は粉末の溶解性を向上させる役割を持つ。タンパク質の疎水性(水をはじく性質)をカバーし、シェイカーでダマになるのを防ぐ。大豆レシチンが最も一般的で、ほぼすべてのプロテイン製品に使用されている。マイプロテインのノンフレーバー(原材料2項目)にも大豆レシチンは含まれる。
甘味料は味をつける目的で使用される。天然甘味料には羅漢果(モグロシド / 甘味度は砂糖の250〜425倍)とステビア(ステビオール配糖体 / 甘味度は砂糖の200〜450倍)がある。人工甘味料にはスクラロース(甘味度600倍)、アスパルテーム(150〜200倍)、アセスルファムK(200倍)、ネオテーム(8,000倍)があり、複数を組み合わせて使用される製品もある。
増粘剤(プルラン・グァーガム等)はとろみを出し、沈殿を防止する目的で使用される。SAVAS(プルラン使用)やDNS(グァーガム使用)で採用されているが、BAZOOKA・マイプロテイン・ULTORA・ゴールドスタンダードなど、増粘剤を使用しない製品も多い。
着色料はフレーバーに合わせた視覚的演出を目的とする。アカビート色素(ULTORA)や植物色素(MADPROTEIN)がストロベリー系フレーバーで使用される傾向がある。本記事の比較対象フレーバーにおいては、BAZOOKA・SAVAS・DNS・ゴールドスタンダードは着色料不使用である(BAZOOKAもストロベリー味では着色料を使用しており、フレーバーによって異なる)。
二酸化ケイ素(微粒二酸化ケイ素)は固結防止剤として、粉末が湿気で固まるのを防ぐ目的で使用される。製造工程の改善により二酸化ケイ素を除去するブランドも出てきている。
主要9製品の原材料数を比較するとどうなるか
2026年3月時点の国内主要プロテイン9製品について、原材料数と添加物の構成を以下に比較する。各データは各メーカー公式サイトの原材料表示に基づく。原材料数の昇順で並べている。
| 製品 | フレーバー | 原材料数 | 人工甘味料 | 着色料 | 増粘剤 | ビタミン配合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| マイプロテイン Impact Whey | ノンフレーバー | 2 | なし | なし | なし | なし |
| FIXIT DAILY BASIC | バニラ | 5 | あり(1種) | なし | なし | なし |
| BAZOOKA WPC | プレーン | 6 | なし | なし | なし | B6のみ |
| ゴールドスタンダード 100% Whey | ダブルリッチチョコ | 7 | あり(1種) | なし | なし | なし |
| DNS プロテインホエイ100 | レモン | 10 | あり(3種) | なし | あり | なし |
| SAVAS ホエイプロテイン100 | ココア | 13 | あり(2種) | なし | あり | B群+C+D |
| ULTORA ホエイダイエットプロテイン | クリアストロベリー | 15 | なし | あり | なし | 7種 |
| MADPROTEIN ホエイプロテイン | ナチュラルストロベリー | 18 | なし | あり | なし | 11種 |
| BAZOOKA WPH | サワーレモン | 21 | なし | なし | なし | 13種 |
原材料が最も少ないのはマイプロテインのノンフレーバー(2項目)だが、甘味料・香料が一切ないため飲みにくさがトレードオフになる。フレーバー付き製品ではFIXIT(5項目)とBAZOOKA WPC(6項目)がシンプルな構成である。FIXITは人工甘味料1種を使用、BAZOOKA WPCは天然甘味料(羅漢果)を使用しており、甘味料の種類が異なる。
一方、BAZOOKA WPHは21項目と数値上は最多だが、そのうち13項目はマルチビタミン(V.C、V.B6、V.A等)である。SAVASやMADPROTEINも同様にビタミン配合で原材料数が増えており、ビタミン配合製品はいずれも見かけの原材料数が多くなる傾向がある。
原材料が少ない=安全とは言えないのか
原材料数の少なさは製品のシンプルさを示す一つの指標だが、安全性の指標としては不十分である。その理由は3つある。
第一に、ビタミン・ミネラル配合による原材料数の増加は「不要な添加物」とは性質が異なる。BAZOOKA WPHの原材料21項目のうち13項目は、栄養機能を目的として配合されたビタミン類である。原材料数だけを見てBAZOOKA WPH(21項目)がDNS(10項目)より添加物が多いと解釈するのは誤りである。
第二に、添加物の種類によってリスクプロファイルが異なる。大豆レシチン(乳化剤)は食品として長い使用歴がありリスクが低い。一方、人工甘味料の長期摂取に関する議論は継続中であり、IARC(国際がん研究機関 / WHO外部機関)は2023年にアスパルテームをGroup 2B(ヒトに対して発がんの可能性がある)に分類している。同じ「添加物1項目」でも内容は大きく異なる。
第三に、同じ製品でもフレーバーによって原材料が変わる。BAZOOKA WPCはプレーン(羅漢果甘味料)で6項目だが、チョコレート(ステビア甘味料・ココアパウダー・食塩追加)ではやや増える。マイプロテインもノンフレーバー(2項目)とチョコレート(甘味料・香料追加で増加)では構成が異なる。プレーン同士、フレーバー付き同士で比較するのが公平な評価法である。
よくある質問
Q: プロテインは超加工食品(UPF)に分類されるのか
A: NOVA分類(Monteiro et al., 2019, Public Health Nutrition)の定義上、プロテインパウダーは乳化剤や甘味料を含むためGroup 4(UPF)に分類される。ただし「UPFに分類される」ことと「健康リスクが高い」ことは同義ではない。Lane et al.(2024, BMJ)のアンブレラレビューが示すUPFと健康リスクの関連は、菓子パン・加工肉・炭酸飲料を含む広範なUPFカテゴリ全体のデータであり、プロテインパウダー単体のリスクを示したものではない。
Q: ビタミン配合と人工甘味料の添加は同じ「添加物」なのか
A: 性質が大きく異なる。ビタミン類(V.C、V.B6等)は栄養機能を目的として配合される成分であり、人工甘味料(スクラロース、アセスルファムK等)は味を調整する目的で使用される。BAZOOKA WPH(21項目中13項目がビタミン)やSAVAS(13項目中ビタミンB群+C+D)のように、原材料数が多くてもその多くがビタミンである製品は、人工甘味料3種を組み合わせている製品とは添加物の質がまったく異なる。原材料の「数」だけでなく「内訳」を確認することが重要である。
Q: ノンフレーバーのプロテインが最もシンプルなのか
A: 原材料数だけで見れば、マイプロテイン Impact Wheyノンフレーバー(ホエイプロテインコンセントレート+大豆レシチンの2項目)が最もシンプルである。ただしノンフレーバーは甘味が一切ないため飲みにくさがトレードオフとなる。甘味がありつつシンプルな構成を求める場合は、天然甘味料(羅漢果またはステビア)を使用した製品が選択肢となる。
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参考文献
- Lane MM, Gamage E, Du S, et al. (2024). Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses. BMJ, 384, e077310.
- Monteiro CA, Cannon G, Lawrence M, Costa Louzada ML, Pereira Machado P. (2019). Ultra-processed foods, diet quality, and health using the NOVA classification system. Public Health Nutrition, 22(15), 2709-2713.
- Dunford EK, Miles DR, Popkin B. (2023). Food Additives in Ultra-Processed Packaged Foods: An Examination of US Household Grocery Store Purchases. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics, 123(6), 889-901.