プロテインの品質を見抜く方法 — 第三者認証・検査制度の全体像

Informed Choice、NSF Certified for Sport、BSCGなど主要な第三者認証制度の仕組みと違いを解説。認証の有無がプロテインの安全性確認にどう機能するかを、論文データと認証機関の公式情報をもとに整理する。

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プロテイン製品の品質を購入前に確認する有効な手段は、第三者認証(third-party certification)の有無の確認と認証DBの照合である。国際的に流通するプロテイン製品では、禁止物質検査・製造プロセス審査・ラベル表示の正確性検証の3種類の認証が存在し、それぞれ評価対象が異なる。2022年にコロンビア市場のホエイプロテイン製品を分析した研究では、全サンプルでラベル記載のタンパク質量(平均81.4 g/100 g)が実測値(平均65.7 g/100 g)を上回っていたことが報告されており(Zapata-Muriel et al., 2022, Journal of the International Society of Sports Nutrition)、認証制度が消費者保護に果たす役割を示している。

プロテインの品質はどうやって確認できるのか

プロテイン製品の品質確認手段は、認証ラベルの確認と認証機関のオンラインDBでの製品照合の2段階で構成される。認証ラベルがパッケージに印刷されているだけでは不十分であり、各認証機関の公式サイトで製品名・ロット番号を検索することで、認証が現在有効かどうかを確認できる。Informed ChoiceはLGC Groupが運営するデータベース(choice.wetestyoutrust.com)、NSFはnsfsport.comで検索可能である。

ラベル表示の信頼性という観点では、Bandara et al.(2020, Toxicology Reports, Vol.7, pp.1255–1262)がClean Label Project(2018年)の133製品分析データをもとにリスク評価を行った結果、70%の製品で鉛が検出され、74%の製品でカドミウムが検出されたことが報告されている。ただし通常の摂取量では健康被害指数(hazard index, HI)が1を下回ると報告されており、直ちに危険であることを示すデータではない。

自分で計算できる指標

パッケージの栄養成分表から以下を確認できる。

  • タンパク質含有率は、1食あたりのタンパク質量(g)÷ 1食あたりの重量(g)× 100で計算する。75%以上が品質の目安とされる
  • 原材料は重量順表示のため、ホエイプロテインが筆頭にあれば主原料として正しい配合である
  • 製造所固有記号が複数ある場合、複数工場での製造を示す

第三者認証にはどのような種類があるのか

第三者認証は大きく「禁止物質検査型」と「製造プロセス認証型」に分類される。禁止物質検査型は製品(液体・粉末)を直接検査して特定物質の有無を確認する。製造プロセス認証型は工場・設備・製造手順を審査するが、製品そのものの化学分析は実施しない。この違いを理解することが認証を読み解く上で最も重要な点である。

禁止物質検査型にはBSCG、Informed Sport、Informed Choice、NSF Certified for Sportが含まれる。Informed ChoiceとInformed Sportはいずれも英国のLGC Groupが運営し、WADAの禁止物質リストを中心に285種以上の物質を対象とする。BSCGは米国を拠点とし、WADAの禁止物質に加えて処方薬・違法薬物を含む450種以上の物質を検査対象としている。物質数の差は検査の質の優劣を意味するのではなく、対象範囲のカテゴリが異なることによる。

本記事の認証情報は各認証機関の公式サイトに基づく(2026年3月時点)。

主要認証制度の比較

認証名運営認証タイプ検査対象物質数検査方式
BSCGBSCG(米国)禁止物質検査450種以上(禁止物質+処方薬+違法薬物)出荷ロット全数検査
Informed SportLGC Group(英国)禁止物質検査285種以上全ロット出荷前検査
Informed ChoiceLGC Group(英国)禁止物質検査285種以上月次市場抜き取り盲検
NSF Certified for SportNSF International(米国)禁止物質検査約290種以上(WADAリスト全クラス)ロットごと検査
FSSC 22000FSSC財団(オランダ)製造プロセス認証規定なし(食品安全全般)施設審査(3年サイクル+年次監査)
GMP認証(国内・JHNFA/JIHFS)各機関(日本)製造プロセス認証規定なし(製品テスト非実施)施設監査

Informed ChoiceとInformed Sportの検査方式の違い

Informed Sportは全ロットを出荷前に検査する事前検査方式である。Informed Choiceは月に1回以上の頻度で市場から抜き取り購入した製品を盲検(blind sampling)で検査する事後確認方式を採用している。一般用途の製品ではInformed Choiceで対応できるが、競技規則によりドーピング管理が厳格な環境ではInformed Sportが要件とされることがある。

製造プロセス認証の位置づけ

FSSC 22000は食品安全マネジメントシステム(FSMS)の国際規格ISO 22000をベースに、追加要件を設けた民間規格である。製造ラインの衛生管理・異物混入対策・原料トレーサビリティを審査するが、製品中の特定化学物質の有無を検査するものではない。禁止物質検査型の認証と製造プロセス認証型の認証は補完関係にあり、どちらか一方で他方を代替できるものではない。

国内流通品で目にする旧JADA推奨は2019年3月に終了しており、現在は有効な認証制度として機能していない。JADAはその後ガイドライン形式に移行しており、「JADA推奨マーク」が付いた製品の表示は2019年以降の品質保証を意味しない点に注意が必要である。

認証の有無でプロテインの安全性はどう変わるのか

禁止物質検査型の認証は、検査時点のロットにおいて対象物質が検出下限値未満であることを示す。将来にわたって同一の品質を保証するものではなく、認証の更新頻度(月次・ロット単位)が継続的な品質監視の密度を決める。Informed SportやBSCGはロット単位で検査を実施するため、製品が市場に出るたびに検査記録が蓄積される。

Bandara et al.(2020)の分析では、植物性プロテインはホエイプロテインと比較して重金属濃度が高い傾向があることが報告されている。ただし同研究では、通常の使用量における健康被害指数(HI)は1未満であり、直ちに健康リスクに繋がると結論付けるデータは示されていない。HI<1は規制機関が健康被害の可能性が低いと見なす基準値である。

第三者認証を取得している製品は、少なくとも認証機関による検査を受けた事実の記録が公開されている。認証なし製品の場合、同等の検査が実施されているかどうかを外部から確認する手段がない。

品質重視でプロテインを選ぶときの基準は何か

優先順位の高い確認項目は以下の順となる。

  1. 禁止物質検査型認証の有無: Informed Choice・Informed Sport・BSCG・NSF Certified for Sportのいずれかが取得されているか
  2. 認証DBでの有効性確認: パッケージのロゴだけでなく、各認証機関の公式検索DBで製品名を照合する
  3. タンパク質含有率の計算: 1食タンパク質量÷1食重量×100が75%以上かどうかを確認する
  4. 製造プロセス認証の有無: FSSC 22000またはGMPの有無で製造管理水準の目安とする
  5. 原材料表示の確認: 原材料の筆頭がホエイプロテインかどうか

2022年の研究(Zapata-Muriel et al., 2022, Journal of the International Society of Sports Nutrition, Vol.19(1), pp.258–266, DOI: 10.1080/15502783.2022.2090828)では、検査対象となったコロンビア市場の全製品でラベル表示のタンパク質量が実測値を上回っていた。平均ラベル表示値81.4 g/100 gに対し、実測平均は65.7 g/100 gであり、乖離は約19%に達した。この研究は特定市場を対象としたものであるが、ラベル表示の正確性を独立した機関が確認する仕組みの意義を示している。

認証DBの確認方法

  • Informed Choiceは choice.wetestyoutrust.com で製品名またはブランド名を検索できる
  • NSF Certified for Sportは nsfsport.com の「Certified Products」から検索する
  • BSCGは bscg.net の認証製品リストで確認する

よくある質問

Q. Informed ChoiceとInformed Sportはどちらを選ぶべきか

競技規則でドーピング管理が義務付けられている環境では、全ロット出荷前検査を実施するInformed Sportが求められる場合がある。一般用途でのトレーニングにはInformed Choiceで対応できる。どちらもLGC Groupが同一の分析基準で運営しており、285種以上の物質を検査対象としている点は共通である。

Q. Informed ChoiceとFSSC 22000を両方取得している製品は何が保証されるのか

Informed Choiceは製品(粉末)を直接分析して禁止物質285種以上が検出下限値未満であることを確認する禁止物質検査型の認証である。FSSC 22000は製造工場の食品安全マネジメントシステムを審査する製造プロセス認証であり、製品の化学分析は実施しない。2つは評価対象が異なる別次元の品質保証であり、どちらか一方で他方を兼ねることはできない。たとえばBAZOOKA WPHは両方を取得しているが、FSSC 22000取得工場で製造された製品やInformed Choice認証を取得した製品はそれぞれ他にも複数存在する。

Q. JADA推奨マークのある製品は信頼できるか

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の推奨制度は2019年3月に終了しており、現在は有効な認証制度として機能していない。JADAはその後ガイドライン形式に移行している。旧推奨マークが付いた製品は2019年以前の審査を通過した事実を示すに過ぎず、それ以降の品質管理を保証するものではない。現在の禁止物質検査はInformed Choice・Informed Sport・BSCG・NSF Certified for Sportを参照することが適切である。

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参考文献

  • Zapata-Muriel, A., Echeverry, P., Van Dusseldorp, T. A., Kurtz, J., & Monsalves-Alvarez, M. (2022). Whey protein supplements: Evaluation of labeling accuracy and hygienic quality of commercial products marketed in Colombia. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 19(1), 258–266. DOI: 10.1080/15502783.2022.2090828
  • Bandara, S. B., Towle, K. M., & Monnot, A. D. (2020). A human health risk assessment of heavy metal ingestion among consumers of protein powder supplements. Toxicology Reports, 7, 1255–1262. DOI: 10.1016/j.toxrep.2020.08.001