クレアチンの不純物リスクとは何か — クレアピュア・一般品の品質差と選び方

市販クレアチンには製造工程由来の不純物(DCD・DHT・クレアチニン)が含まれる場合がある。EFSAが規制基準を設けており、クレアピュア(Creapure)はこれらを検出限界以下に抑える純度99.9%以上の原料ブランドである。選び方の基準を整理する。

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クレアチンサプリメントには、製造工程に由来する有機不純物(ジシアンジアミド・ジヒドロトリアジン・クレアチニン)および重金属が含まれる場合がある。欧州食品安全機関(EFSA)は各不純物に上限値を設け、ドイツ製の原料ブランド「クレアピュア(Creapure)」はこれらをすべて基準内または検出限界以下に管理している。市販製品のHPLC分析(Moret et al., 2011, Food Chemistry)では、調査した33サンプルのうち44%でクレアチニンがEFSA上限の100 mg/kgを超過、約15%でジヒドロトリアジン(DHT)が検出された。品質差は原料ブランドの表示と第三者認証の有無によって評価できる。

クレアチン製造でなぜ不純物が生じるのか

クレアチンの工業的合成は主にサルコシン酸ナトリウム(sarcosinate)とシアナミド(cyanamide)を反応させる「シアナミド法」によって行われる(Pischel & Gastner, 2007, Subcellular Biochemistry, Vol. 46)。反応温度・pH・時間が最適化されていない場合、原料のシアナミドが二量化してジシアンジアミド(DCD)が生成する。またDHTは合成工程の副産物として生じうる。クレアチニンはクレアチン自体の加水分解・熱分解によって生成し、精製が不十分な場合に残存する。

一方、S-メチルイソチオウレア(SMTU)を用いる代替合成経路を採用する製造者も存在し、この経路ではチオ尿素が固有の副産物として生成する。シアナミド法を採用するCreapure(AlzChem社)ではチオ尿素は原理的に生成しない。製造方法の違いが不純物プロファイルを決定するため、原料の由来を確認することが品質評価の出発点となる。

不純物の種類と安全性リスクはどの程度か

EFSAは2004年のクレアチン安全性評価(EFSA AFC Panel, 2004, EFSA Journal, No. 36)で、不純物ごとに上限値を規定した。その後DHT上限は4.5 mg/kgから3 mg/kgへ引き下げられている。各不純物のリスク評価は以下の通りである。

DCD(ジシアンジアミド)は動物実験において高用量投与時の毒性が観察されているが、ヒトへの影響は低用量では不明確であり、EFSA上限は50 mg/kgに設定されている。DHT(ジヒドロトリアジン)は構造的に関連する化合物に発がん性を示すものが知られているため、EFSAは予防原則として不検出(現行上限3 mg/kg)を要求している。DHT自体の確定的なヒト発がん性については現時点でデータが整備されていない。クレアチニンは体内でもクレアチンの代謝産物として日常的に生成されており(約1〜2%/日)、サプリメント摂取量での追加暴露が通常食由来を2倍以上上回るケースは一般的な使用量では考えにくい。腎機能への懸念は理論的な可能性として言及されるが、健康成人を対象とした試験での問題は報告されていない(Kreider et al., 2017, JISSN, Vol. 14)。

EU域内(イタリア市場で入手した製品)の市販品33サンプルを分析したMoret et al.(2011, Food Chemistry, Vol. 126, No. 3, pp. 1232–1238)では、DHTは約15%のサンプルで当時のEFSA上限値4.5 mg/kgを超過し、最大8.0 mg/kgが検出された。チオ尿素は全サンプルで不検出、重金属は水銀のみ1 mg/kg未満で検出された。なお同研究の対象はイタリア市場で入手した製品であり、他地域の製品とは異なる結果となる可能性がある。

クレアピュアと一般品の純度はどれだけ違うのか

原料ブランド・品質グレード別の不純物データを整理する(Creapure公式スペック、Antonio et al., 2021, JISSN, Vol. 18が引用するPischel & Gastner, 2007のデータ。中国製一般品の数値は文献報告の最悪事例であり、同国産製品全般の代表値ではない)。

原料ブランド / グレード純度DCDDHTクレアチニン第三者認証
Creapure(ドイツ・AlzChem)99.9%以上<20 mg/kg不検出(0 mg/kg)<100 mg/kgケルンリスト登録
EU市場・中位品(Moret 2011調査)記載なし一部超過あり最大8.0 mg/kg(15%サンプル)44%が100 mg/kg超不明
中国製一般品・最悪事例(Pischel & Gastner, 2007が報告)95〜99%台最大54,000 mg/kg(EFSA上限の1,080倍)最大900 mg/kg超(EFSA上限の300倍超)最大13,000 mg/kg記載なし

Creapureは全ロット出荷前にHPLC分析を実施し、DCD・DHT・クレアチニン・チオ尿素・重金属(砒素・カドミウム・水銀・鉛)を同時測定する品質管理体制を採る(Pischel & Gastner, 2007)。中国製クレアチンの最悪事例は第三者検査を経ていない製品での報告値であり、第三者検査を取得した中国製品がEFSA基準を満たす場合もあることに留意が必要である。

不純物を避けるために何を確認すればよいのか

製品選択時に確認すべき情報は大きく3点に整理できる。

第一に、原料ブランドの表示である。パッケージや製品説明に「Creapure」「クレアピュア®(AlzChem社、ドイツ製)」と明示されている場合、同社の品質基準が適用される。複数の日本市場向け製品がCreapureを採用しており、DNS・VALX・バルクスポーツ・ビーレジェンド・BAZOOKA NUTRITIONなどが原料表示で確認できる(各社公式サイト、2026年3月時点)。原料ブランドを明示しない製品については、自社検査値のみの可能性がある。

第二に、第三者認証の有無である。ケルンリスト(Kölner Liste)はアンチドーピング文脈での第三者検証として機能し、Creapureはこれに登録されている。アスリートやドーピング検査対象者にとってはこの認証が追加的な確認根拠となる。インフォームドスポーツ等の認証を個別製品が取得している場合も同様に評価できる。

第三に、純度表示の根拠である。純度99.9%と表示する製品が複数存在するが、その数値がCreapureの認証に基づくのか、自社検査に基づくのかは異なる。自社検査値の場合、検査機関・検査項目・頻度が公開されているかを確認することが追加的な判断材料となる。

よくある質問

Q. クレアピュアを使っていない製品はすべて品質が低いのか?

必ずしもそうではない。Creapure以外の原料でも、EFSAの不純物基準を満たす製品は存在しうる。第三者機関による検査結果が公開されている製品であれば、原料ブランドに関係なく品質を評価できる。原料表示や検査情報が一切ない製品については、品質水準を外部から確認する手段が限られる。

Q. クレアチンサプリメントはEFSAの基準に従う義務があるのか?

EFSAの評価基準はEU域内の規制に影響するが、日本では食品衛生法上の規制対象となる。現時点では日本国内でクレアチン不純物に特化した法的上限値は設けられておらず、EFSAの基準値は業界の品質指標として参照されることが多い。消費者庁の食品表示制度のもとで成分・原材料の正確な表示が求められており、メーカーが任意で第三者認証を取得することで品質を担保するケースが一般的である。

Q. クレアチニンは体内でも生成されるなら問題ないのか?

クレアチンは体内で約1〜2%/日の割合でクレアチニンへ自然に変換され、尿中に排泄される。サプリメントに含まれるクレアチニンは食事由来の摂取とほぼ同レベルであり、健康な腎機能を持つ成人では大きな追加リスクとはみなされていない。ただし腎疾患を有する場合は主治医への相談が推奨される。

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参考文献

  • Sabrina Moret et al., 2011, Food Chemistry, Vol. 126, Issue 3, pp. 1232–1238. DOI: 10.1016/j.foodchem.2010.12.028
  • Jose Antonio et al., 2021, Journal of the International Society of Sports Nutrition, Vol. 18, No. 1, Article 13. DOI: 10.1186/s12970-021-00412-w
  • Ivo Pischel & Thomas Gastner, 2007, Subcellular Biochemistry, Vol. 46, Chapter 15 (Springer). DOI: 10.1007/978-1-4020-6486-9_15
  • EFSA AFC Panel, 2004, EFSA Journal, No. 36. DOI: 10.2903/j.efsa.2004.36
  • Richard B. Kreider et al., 2017, Journal of the International Society of Sports Nutrition, Vol. 14, Article 18. DOI: 10.1186/s12970-017-0173-z