プロテインとビタミンは一緒にとってよい? — ビタミン配合プロテイン5製品を配合数と基準値比で比較

プロテインとビタミンの同時摂取の可否を整理し、ビタミン配合プロテイン5製品を配合種類数・栄養素等表示基準値比・1食あたり価格で横並びに比較する。基準値比と耐容上限量の違い、マルチビタミンサプリと併用した場合の重複リスクも扱う。

プロテインとビタミンは食品どうしなので、同時に摂取すること自体に問題はない。ただしビタミン配合プロテインは製品によって配合種類数が7〜13種、1食あたりのビタミンD量は未配合から栄養素等表示基準値(改正前)の165%まで幅がある。基準値比が100%を超えても、それは表示上の目安を超えただけで、健康被害が出る「耐容上限量」を超えたことにはならない。マルチビタミンサプリと重複させた場合に注意が必要なのは、耐容上限量が設定されているビタミンA・D・E・B6・ナイアシン・葉酸である。

プロテインとビタミンは一緒にとってよいのか

プロテインとビタミンを同時に摂取すること自体は、食品どうしの組み合わせであり問題にならない。健康な成人が各製品の目安量を守る範囲では、気をつけるべきは「量が重なったときに耐容上限量を超えないか」が中心になる。持病や服薬がある場合は別に確認が要る(ワルファリンについては後述)。

Sugimoto ら(2024)はBMC Nutrition誌で、日本人成人392人(20〜69歳、うち強化食品・サプリメント利用者122人)を対象とした4日間の食事記録調査を報告している。強化食品全体が総摂取量に占める寄与率はどの栄養素でも4%未満にとどまる一方、サプリメントの寄与率はビタミンB6で最大20.6%に達した。サプリメント・強化食品の利用者群では、総摂取量でビタミンB6の耐容上限量を超えた人が2%いたと報告されている。

この調査では、耐容上限量の超過に寄与していたのは強化食品よりもサプリメントのほうだった。同じ調査では、強化食品・サプリメントを摂取分から除外すると、チアミン・リボフラビン・ビタミンB6・ビタミンC・カルシウムの5栄養素で推定平均必要量に届かない人の割合が10%以上上昇したとも報告されている。強化食品は不足を補う側面と、サプリメントと重なると過剰側に寄与する側面の両方を持つ。

ビタミン配合プロテインは何種類・どれだけ入っているのか

本記事の収載基準は「原材料にビタミンを添加物または原材料として表示している国内流通のホエイ系プロテイン」とする。ビーレジェンド・DNS・GronGの通常ラインは調査した範囲でビタミンの添加がなく、この基準に該当しないため対象から外した。公式の販売ページで現行の商品と価格を確認できなかった製品も収載していない。

原材料・栄養成分表示の確認状況は、ザバス・VALX・WHEY PROTEIN NEO・BAZOOKAが公式サイトの表示を確認済みで、ゴールドジムは公式ページが1食30gあたりの数値を公開しておらず、100gあたりの表示から30g換算した推定値である(2026年9月28日時点)。WHEY PROTEIN NEOは公式サイト自体が1食25gあたりの値を推定値として表示している。基準の適合はブランドを問わず同じ厳格さで確認する。各製品の確認先は末尾の参考文献に記載した。

価格は「税込の単品通常価格 ÷ 内容量」で換算し、1食あたり価格の昇順に並べた。メーカーの直販がないザバスは、公式サイトに掲載された希望小売価格(税別)に消費税8%を加えて換算した。1食量は各メーカーが示す目安量で、製品によって21〜30gと異なる。表は掲載した5製品の中での比較である。

配合ビタミン種類数は製品によって7〜13種と幅があり、1食あたりのビタミンD量も未配合から165%(改正前の栄養素等表示基準値比)まで開きがある。基準値比は、消費者庁(2025)が定める改正前の栄養素等表示基準値で統一して算出した。経過措置期間中で、改正前の基準値で表示している製品があるためである。

製品(フレーバー)配合ビタミン数1食量ビタミンD(量・改正前基準値比)ビタミンB6(量・比)ビタミンC(量・比)1食あたり価格
VALX ハイブリッドプロテイン(チョコレート風味)11種30g3.4µg(62%)0.44mg(34%)37.4mg(37%)¥131
ザバス ホエイプロテイン100 マルチビタミン&ミネラル(ミルクショコラ風味)10種21g9.1µg(165%)0.42mg(32%)32mg(32%)¥133
WHEY PROTEIN NEO WPI(メロンヨーグルト風味)11種25g5.5µg(100%)1.3mg(100%)100mg(100%)¥270
ゴールドジム ホエイプロテイン(クッキー&クリーム風味)7種30g未配合0.21mg(16%・推定値)24.3mg(24%・推定値)¥387
BAZOOKA WPH(サワーレモン)13種30g2.6µg(47%)0.6mg(46%)66mg(66%)¥600

WHEY PROTEIN NEOの値は公式サイトが推定値として表示しているもの、ゴールドジムの推定値は100gあたりの表示を1食30gに換算した値である。

1食あたり価格は¥131〜¥600で、11種配合で¥131の製品もあれば13種配合で¥600の製品もあり、配合種類数の多さと価格は連動していない。1食の価格を抑えるならVALX ハイブリッドプロテイン(¥131)かザバス マルチビタミン&ミネラル(¥133)、ビタミンDの量を重視するならザバス マルチビタミン&ミネラル、表示基準値に合わせた配合を求めるならWHEY PROTEIN NEO、配合種類数を重視するならBAZOOKA WPH(13種・1食¥600で表中最も高い)やWHEY PROTEIN NEO・VALX(11種)と、優先する軸によって候補は変わる。

2026/9/28 訂正:当初、VALX ハイブリッドプロテインの各ビタミンの配合量を「公式に非公表」として記載していたが、公式サイトの栄養成分表示に1食30gあたりの値が掲載されていたため、比較表に数値を追加し、量の表示がない製品として扱っていた節を削除した。あわせて、ザバス マルチビタミン&ミネラルの1食あたり価格を販売店の価格から¥69と算出していたが、公式サイトの希望小売価格に基づく¥133が正確であるため、表の並び順と価格の比較に関する記述を訂正した。本文を訂正済み。

「基準値比」はどう読めばよいのか

栄養素等表示基準値は、食事摂取基準などを踏まえて栄養素ごとに定められた表示用の値(18歳以上・基準熱量2,200kcal)である。個人の必要量でも安全上の上限でもなく、これを超えたからといって危険というわけではない。安全性の議論をするときは、この基準値比とは別に「耐容上限量」を確認する必要がある。

消費者庁(2025)は食品表示基準の別表第10(栄養素等表示基準値)を2025年3月に改正した。経過措置期間は令和10年(2028年)3月31日までで、この間は改正前・改正後どちらの値で表示してもよい。ビタミンDは改正前5.5µgから改正後9.0µgへ、ビタミンB12は改正前2.4µgから改正後4.0µgへ、いずれも引き上げられた。

この改正の影響は具体的な数値で見るとわかりやすい。ザバス マルチビタミン&ミネラルはビタミンDを1食あたり9.1µg含み、改正前基準(5.5µg)で計算すると165%になるが、改正後基準(9.0µg)で計算すると101%まで下がる。同じ配合量でも、どちらの基準値を採用するかによって表示される比率は変わる。本記事の比較表は改正前基準で統一して算出した。

マルチビタミンと併用すると上限を超えるのか

日本人の食事摂取基準(2025年版)は、ビタミンA・D・E・B6・ナイアシン・葉酸に耐容上限量を設定している。以下は30〜49歳男性の値である。

ビタミン耐容上限量(UL)備考
ビタミンA2,700µgRAEレチノール(プレフォームド型)が対象。βカロテン等には適用されない
ビタミンD100µg
ビタミンE800mgα-トコフェロールとして算定
ビタミンB660mgピリドキシンとしての量
ナイアシン85mg(ニコチン酸換算)・350mg(ニコチンアミド換算)
葉酸1,000µg通常の食品以外(サプリメント・強化食品)からの摂取量のみが対象。強化プロテインはこの区分に含まれる

比較表で最もビタミンD量が多いザバス マルチビタミン&ミネラルでも1食9.1µgで、耐容上限量100µgに対しては9%程度にとどまる。表に挙げた1食分のビタミンDに限れば、プロテインだけで耐容上限量に届く量ではない。ただし1日に何回飲むか、ほかの強化食品やマルチビタミンサプリを併用しているかで合計は変わる。前述のSugimoto(2024)の調査でも、サプリメント併用者の一部でビタミンB6の耐容上限量超過が確認されている。自分が飲んでいるマルチビタミンとプロテインの両方の栄養成分表示を並べ、耐容上限量が設定された栄養素の合計を確認するのが安全な進め方になる。

ビタミンAの耐容上限量はレチノール(プレフォームドビタミンA)が対象で、βカロテンなどのプロビタミンAには適用されない。各製品の原材料表示は「V.A」等としか記載されておらず、配合されているビタミンAがレチノール塩かβカロテンかまでは公表情報から判別できない。

服薬中の人はビタミン配合プロテインの何を確かめればよいのか

ビタミンKを含む製品は、ワルファリンを服用している人にとって注意が必要になる。ワルファリン服用者のビタミンK摂取量については、Sato ら(2015)が食品衛生学雑誌で系統的レビューを行い、摂取量を急に大きく変えないことの重要性を整理している。ビタミンKは栄養成分表示の義務項目ではないため、配合の有無は原材料欄で確かめ、記載がはっきりしない場合はメーカーに問い合わせることになる。服用中の薬がある場合の摂取量は、医師・薬剤師に確認する事項にあたる。栄養成分表示の読み方全般はプロテインの成分表示の読み方で扱っている。

よくある質問

基準値比が100%を超えるプロテインは飲みすぎになるのか

ならない。栄養素等表示基準値は集団の平均的な必要量から算出した表示用の値で、上限を意味しない。過剰摂取の判断は別に定められた耐容上限量(UL)との比較で行う。基準値比とULは別の指標であり、混同しないことが重要になる。

ワルファリンを服用している場合、ビタミン配合プロテインは避けたほうがよいか

ビタミンKは栄養成分表示の義務項目ではないため、配合の有無は原材料欄やメーカーへの問い合わせで確かめる。ワルファリンの作用の強さは血液検査(PT-INR)で管理されており、ビタミンKを含む食品をどれだけとってよいかは医師・薬剤師が判断する事項にあたる。

ビタミン無配合のプロテインを選ぶ理由はあるか

マルチビタミンサプリを既に併用していて重複を避けたい場合や、原材料をシンプルに保ちたい場合には無配合の製品を選ぶ理由になる。原材料数を抑えた製品については原材料がシンプルなプロテインを参照されたい。

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参考文献